小児歯科学雑誌
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下顎乳切歯部に現われた真性乳歯過剰歯の1症例
山本 英次栢原 千鶴木下 孝昭加来 弘志渡辺 尚海木村 光孝
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1986 年 24 巻 2 号 p. 335-343

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抄録
真性乳歯過剰歯の発現頻度は,永久歯過剰歯に比較してきわめて低い。今回,我々は,下顎乳切歯部に現われた真性乳歯過剰歯の1症例に遭遇した.
患児は1歳6カ月の女児で,1歳6カ月児歯科健康診査のため来院した。家族歴,既往歴,全身所見,口腔外所見に特記すべき事項は認められない.口腔内所見において,下顎右側に乳中切歯に相当すると思われる歯が2歯認められ,歯冠形態は非常に類似していた。近心側にある乳中切歯に若干の異常を認めた。X線所見では,上記2歯の歯冠並びに歯根形態は類似しており,歯髄腔の状態もほぼ同様であった。後継永久中切歯の歯胚は遠心側にある乳中切歯の根尖部付近に存在し,永久歯過剰歯の歯胚は認められなかった。
真性乳歯過剰歯の判定基準については,先人の報告を参考にまとめ,加えてX線不透過性の度合いによる判定法の重要性を示唆した。
処置については,わずかな正中偏位のみで歯列不正は認められず口腔清掃状態も良好なことから,経過観察とした。以後,定期検診毎の口腔衛生指導および咬合誘導を考慮した管理が必要と考える。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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