小児歯科学雑誌
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小児咀嚼筋活動のFFT解析に関する研究
第1報 再現性について
笹井 浩司市橋 正昭朝倉 恒夫蒲生 健司吉安 高左郎伊藤 裕一郎宮田 友晴田村 康夫吉田 定宏
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キーワード: 筋雷図, FFT, 周波数, 再現性
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1986 年 24 巻 3 号 p. 475-482

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抄録

小児3名と成人3名を用い,筋電図波形FFT(Fast Fourie Transform)解析法の再現性について検討した。計測項目は安静位,咬合力計咬合時,クレンチング時およびタッピング時における各筋活動の1 ) 周波数域( Frequency range) , 2 ) 最大ピーク周波数(Peak Hz),3)最大ピーク強度(Peak dBV)で,各被験者とも同一項目で3日間にわたる実験を行った。その結果は以下の通りであった。
1)小児および成人とも咬合力計咬合時,クレンチング時およびタッピング時における周波数域,ピーク強度値の日内変動及び日間変動は小さく,高い再現性が認められた。
2)ピーク周波数は容易に変動しやすく,それ故両群ともに日内変動,日間変動が大きくなり,再現性に問題が認められた。
3)咬合力計咬合時およびクレンチング時における周波数域,ピーク強度は咬合力増加に伴い両群とも上昇する傾向が認められ,また側頭筋と咬筋における比較を行った場合,小児では側頭筋が,一方成人では咬筋が優位な活動を示していた。
以上の結果より,一部計測方法に再検討を要する項目もみられたが,全体を通しFFT解析は小児,成人の咀嚼筋活動を観察する上で有効であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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