小児歯科学雑誌
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乳児の口腔内にみられた奇形腫の1例
梅田 正博堀田 毅寺延 治中西 孝一島田 桂吉船越 禧征稗田 豊治
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キーワード: 奇形腫, 頬粘膜, 乳児
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1986 年 24 巻 4 号 p. 793-800

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抄録
口腔領域の奇形腫の報告例は少なく,今回乳児の頬粘膜部に発生した奇形腫の1例を経験したので概要を報告する。
患者は4カ月男児で,口腔内腫瘤の精査依頼にて当科を紹介来院した。全身的には特記事項はなく,他の合併奇形もなかった。腫瘤内に歯胚様X線不透過像がみられ,奇形腫との臨床診断のもと,全麻下にて摘出した。腫瘍内には歯胚のほか,歯原性上皮塊,骨組織,筋組織等の外・中胚葉性組織を認め,成熟奇形腫と診断した。術後経過は良好である。
また,本邦における口腔鼻咽腔奇形腫の報告例70例について検討し,次の結果が得られた。
1)本腫瘍は1歳未満の乳児または新生児に多くみられ,約78%が女性に発生した。
2)鼻咽腔領域に発生することが多く,口腔より発生したものは少なかった。口腔に発生したものでは,口蓋が最も多かった。
3)唇顎口蓋などの合併奇形が,しぼしぼ認められた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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