抄録
Rubinstein-Taybi症候群をま手足第一指の幅広い末節,特徴的な顔貌,精神発達遅延,反複する呼吸器感染などを伴った疾患であり,口腔周囲の諸形態についても種々の異常が報告されている。
今回著者らは,Rubinstein-Taybi症候群と診断された4歳男児を診査し,歯科的分析を行った結果,以下のような所見を得た。
1)患児は本症候群の主症状・徴候を満たしていた。
2)歯科的特徴として乳歯萌出遅延,永久歯との交換遅延傾向,小顎症,歯列弓形態異常,交叉咬合,口蓋形態異常,口蓋垂裂が認められた。
3)歯列弓は上下顎共にV字歯弓で前歯部に叢生がみられたが,齲蝕や歯肉炎は認められなかった。
4)口蓋は全体に浅く,正中口蓋縫合部が逆V字型に窪んでいた。
5)レントゲン診査では,トルコ鞍の拡大,手根骨の低石灰化,栂指末節骨の肥大がみられた。