小児歯科学雑誌
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若年性歯肉色素沈着の現状
小池 勝康荻原 和彦三代 幸彦
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キーワード: 歯肉, 色素沈着, 成長発育
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1987 年 25 巻 1 号 p. 18-33

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抄録
成人の歯肉色素沈着については報告が多いが,若年者を対象とするものは乏しい。東京都および埼玉県の保育園児,小学生,中学生,高校生,学生について口腔前庭付着歯肉の褐色色素沈着を調査した。年齢は0~19歳にわたる。
1)若年性歯肉色素沈着は帯状型で始まり,上,下顎とも左右犬歯間まれに第一乳臼歯間にみられた。
2)2歳児から現われたが,出現者率は3歳から急増して6歳で約60%に達し,以後ほぼ一定値を維持した。女子は11歳から,男子は14歳から減少し始め,18~19歳で前者は10%以下に,後者は30%以下になった。
3)多くは上顎から始まり,下顎に及んだ。下顎のみの例は少なかった。
4)乳歯と永久歯の交換期には,その部に一時的に沈着消退を示す例が多くみられた。
5)6歳以上では帯状型のほか斑状型(歯根部沈着,歯間部沈着)もみられ,増齢とともに増加した。これらは帯状型色素沈着の消失の過程と思われる。
6)17歳以下では歯根部沈着が多かったが,18歳では逆に歯間部沈着が多くなった。
7)最後の色素沈着は,側切歯の歯根部沈着あるいは側切歯と犬歯の歯間部沈着のほか,犬歯の歯根部沈着あるいは中切歯と側切歯の歯間部沈着が主なものであった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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