小児歯科学雑誌
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有限要素法による乳歯修復時の歯質内部の応力解析
2.乳臼歯2級窩洞側室の深度の影響
嘉藤 幹夫河原 茂氷見 雄二宮崎 健稗田 豊治
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1987 年 25 巻 1 号 p. 34-42

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抄録
有限要素法を応用して,乳臼歯2級窩洞における側室の深さおよび修復材料の違いによる歯質および修復物内の変位や応力を解析検討した。
乳歯の二次元有限要素モデルは,下顎第二乳臼歯の歯冠部近遠心縦断面を基準とし,窩洞は咬合面と近心面からなる2級窩洞で,コンポジットレジン,銀錫アマルガムおよび金合金インレーの各修復材料を通法により充填した。
乳臼歯2級モデルは,106個の節点と169個の三角形要素に分割し,変位図および応力図を作図させ,さらに節点の変位量と主要なareaでの相当応力について比較検討した結果,歯質および修復物の変位は荷重負荷部分の近心小窩,近心咬頭頂,近心最高豊隆部,咬合面髄壁と側室軸壁との隅角部および近心歯頸部エナメル質辺縁部に影響が著明であった。修復物の影響による変位は,レジン,アマルガム,インレーの順に低くなった。さらに,側室が深くなるにつれて変位量が減少することを認めた。修復物内の応力は,咬合面部分では,修復材料の種類や側室の深度には,あまり影響を受けないが,その側室部分では,レジン,アマルガム,インレーの順に応力が高くなり,側室が深くなるにつれて,応力は側室歯肉壁部に集中することを認めた。歯質内の応力は,レジン,アマルガム,インレーの順に応力が低くなり,側室が深くなるにつれてその傾向が一層強くなった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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