小児歯科学雑誌
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メビウス症候群の1症例
西田 文彦西野 瑞穂
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1987 年 25 巻 1 号 p. 193-198

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抄録
メビウス症候群は,両側顔面神経麻痺および外転神経麻痺を呈する症候群で,しばしば他の脳神経麻痺を合併する極めて稀れな疾患である。われわれは徳島大学歯学部附属病院小児歯科外来で,先天性両側顔面神経麻痺に外転神経および舌下神経麻痺を伴うメビウス症候群の2歳1ヵ月男児例を治療する機会を得,次のような所見を認めた。(1)全身的栄養状態はほぼ良好であるが,体格は小で,左側内反足,下肢の著しい運動発達遅滞が認められた。(2)表情に乏しく,仮面様顔貌を呈していた。(3)左側鼻唇溝は消失し,口裂閉鎖不全が認められた。(4)両側外直筋麻痺による内斜視が認められたが,眼球の上下的運動は制限されていなかった。(5)左側に難聴が認められた。(6)高度の齲蝕罹患状態を示していた。( 7 ) パノラマX 線写真から, 左右下顎永久側切歯の先天性欠如が疑われた。(8)舌は溝状舌を呈し,口腔の大きさに比し相対的に巨舌であった。(9)言葉はなく,精神発達遅滞を認めた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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