小児歯科学雑誌
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飲料水中フッ素濃度管理下の桜島における斑状歯の研究
福島 真弓森主 宜延甲斐 正子丸田 裕子濱崎 栄作中村 孝小椋 正
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1987 年 25 巻 2 号 p. 306-313

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抄録
斑状歯は1955年以前,桜島においてみられた。そして斑状歯に関する多くの研究が報告された。1956年から水道水が整備され,それ以来斑状歯に関する追跡研究はされていない。
この研究の目的は1955年以前,発表された斑状歯の頻度との比較により,水道水の整備の効果を明確にするとともに,斑状歯の状況を把握し,斑状歯の影響について検討することである。この調査は桜島在住の1,158人の保育園児ならびに学童を対象に行った。結果は次に示すとおりである。
1)今回の調査において検出された歯の石灰化異常は,フッ素濃度と石灰化異常の程度ならびに重症度の関係に基づき斑状歯と断定した。
2)桜島における斑状歯の頻度は10.7%であった。検出された斑状歯のすべては軽度(M1)であった。
3)斑状歯は主に0.3ppm以上のフッ素濃度を含む水を摂水している子供たちに検出された。
4)桜島における飲料水によるフッ素の齲蝕抑制効果は,この調査において明確にされなかった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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