抄録
的確な齲蝕予防法を検討する目的で,保健所で行われた健康診査から,1歳6カ月と3歳時の資料(451人分)を用いて,菓子類,飲物の摂取と歯磨き実施とが3歳時の乳歯齲蝕にどのようにかかわっているかを観察し,以下の結果を得た。
1)3歳時に菓子パン,ビスケット,アイスクリーム,ケーキ類,市販のジュース,チョコレート,乳酸飲料,炭酸飲料,スナック菓子,あめなどの菓子,飲物類を摂取するものは齲歯有病率が高い。
2)1歳6カ月時の菓子類摂取では,あめの摂取が最も強く齲歯発生と関係していた。
3)1歳6カ月と3歳の両時点の菓子摂取では,いずれかの時点であめ,チョコレート,ケーキを摂取していたものの齲歯有病率が高かった。
4)歯磨きの実施時刻別に,歯磨き実施と齲歯発生との関係を注意深く観察したが,両者に明らかな関係はみられなかった。
5)因子分析により歯磨き,菓子類,飲物の摂取と齲歯発生との係わりを総合的観察した結果,菓子類の摂取と齲歯発生とは明らかな相関がみられた。しかし,歯磨きと齲歯発生との関係を明らかにすることはできなかった。