小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
乳幼児期の菓子や飲物類摂取および歯磨き実施と乳歯齲蝕との関係
秋澤 より子原 徳寿永井 正規
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 25 巻 2 号 p. 323-331

詳細
抄録
的確な齲蝕予防法を検討する目的で,保健所で行われた健康診査から,1歳6カ月と3歳時の資料(451人分)を用いて,菓子類,飲物の摂取と歯磨き実施とが3歳時の乳歯齲蝕にどのようにかかわっているかを観察し,以下の結果を得た。
1)3歳時に菓子パン,ビスケット,アイスクリーム,ケーキ類,市販のジュース,チョコレート,乳酸飲料,炭酸飲料,スナック菓子,あめなどの菓子,飲物類を摂取するものは齲歯有病率が高い。
2)1歳6カ月時の菓子類摂取では,あめの摂取が最も強く齲歯発生と関係していた。
3)1歳6カ月と3歳の両時点の菓子摂取では,いずれかの時点であめ,チョコレート,ケーキを摂取していたものの齲歯有病率が高かった。
4)歯磨きの実施時刻別に,歯磨き実施と齲歯発生との関係を注意深く観察したが,両者に明らかな関係はみられなかった。
5)因子分析により歯磨き,菓子類,飲物の摂取と齲歯発生との係わりを総合的観察した結果,菓子類の摂取と齲歯発生とは明らかな相関がみられた。しかし,歯磨きと齲歯発生との関係を明らかにすることはできなかった。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top