小児歯科学雑誌
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鼻腔内逆生歯の1例とその文献的考察
三好 憲裕中山 弘池上 信行高橋 利近西嶋 克巳
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キーワード: 逆生歯, 鼻腔内萌出, 過剰歯
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1987 年 25 巻 2 号 p. 420-424

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抄録

歯冠が正常の萌出方向とまったく逆の方向へむかっているのを逆生歯といい,歯冠が完全に萌出している場合と未萌出で粘膜下にある場合がある。一般的に,鼻腔内に最も多いのは過剰歯であり,形態としては,犬歯状,初診時の年齢は10歳代,症状としては,ほとんど無症状であり,鼻腔へ萌出すると鼻閉,悪臭性鼻漏,鼻出血などがみられることがあるといわれている。また原因として外傷,梅毒,奇形などがある。
今回,われわれが経験した1例と過去当教室で経験した4例,また,われわれが渉猟した7例を比較検討してみた。比較検討方法として,患者については年齢と性別,歯については種別,形態と未萌出歯の有無,その他原因についても検討してみた。
われわれの経験した5例中4例が唇顎口蓋裂を伴っていた。また,男女比は2:3,歯の種別として,過剰歯3例,正常歯2例,歯の形態として犬歯状2例,前歯および前歯状3例であった。過去,われわれが渉猟した7例と当教室で経験した5例を比較して,一般に原因といわれているうちの唇顎口蓋裂が特に多いことと,前歯および前歯状が多い他はほぼ同様の所見であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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