小児歯科学雑誌
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Diphenyl hydantoin性歯肉肥大症を有する障害児の歯科的対応について
3症例より
大野 和夫森主 宜延大野 秀夫
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1987 年 25 巻 2 号 p. 425-435

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抄録
Diphenyl hydantoin 性歯肉肥大症を有する障害児に対して,全身麻酔下における歯科治療方針立案に関して検討した結果以下の知見を得た。
1.基礎疾患については,症例1:精神発達遅滞,情動障害,てんかん。症例2:精神発達遅滞,貧血状態,てんかん。症例3:精神発達遅滞,脳性麻痺,全身衰弱,てんかんであった。
2.症例1については,患児ならびに保護者によるプラークコントロールが可能と考え全顎にわたる歯肉切除を行った。しかし,術後の保護者によるプラークコントロールが主な原因と考える円形脱毛症を生じたため保護者によるプラークコントロールを中断したところDiphenyl hydantoin性歯肉肥大症が再発した。
3.症例2,3については,術後のプラークコントロールが望めないと考え,歯科医療の原則である歯牙を保存するという考えをあえて捨て,歯周組織に対する処置を行わず抜歯とした。
4.以上のことより障害児に於けるDiphenyl hidantoin性歯肉肥大症の歯科治療方針の決定には歯科医師側の医療技術よりプラークコントロールのような患児ならびに患児を助けるパラデンタルスタッフの役割遂行の可能性に治療方針を決定すべき重要な因子が存在すると考えられた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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