小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
Marfan's Syndromeの1症例の歯科的所見
登内 喜美江河野 美砂子木暮 エリ富沢 美恵子野田 忠
著者情報
キーワード: 高口蓋
ジャーナル フリー

1987 年 25 巻 2 号 p. 463-476

詳細
抄録

マルファン症候群は,結合組織代謝異常により,骨格系(蜘蛛状指),眼(水晶体脱臼),心・血管系(解離性大動脈瘤)に特微ある症候を呈する疾患である。著者らは,新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来で,齲蝕治療と口腔内診査を主訴として来院したMarfan症候群を有する5歳の男児を観察する機会を得,歯科的検討を加え,次のような所見を認めたので報告する。
患者は高身長など身体の発育異常,漏斗胸,側彎症,蜘蛛状指などを認めた。顔貌は老人様を呈し,左右非対称であった。X線所見では長径頭蓋,下顎骨の前方転位,〓部の突出がみられた。
口腔内所見として齲歯多数,高口蓋,不正咬合を認めたが,歯胚の欠如や萌出遅延はなかった。
抜去乳歯の組織学的観察では,髄角部象牙質に球間区,歯根部では象牙細管の数の減少や走行の乱れ,歯髄腔内の象牙質粒の散在,また,根分岐部には血管を封入した第2セメント質の過形成などが認められた。石灰化の程度を検索した結果では,健全歯のものと比べ差は認められなかった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top