日本科学教育学会年会論文集
Online ISSN : 2433-2925
Print ISSN : 2186-3628
ISSN-L : 0913-4476
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論文集
数学教育において論証をなぜ学習指導するのか
*阿部 好貴石井 英真杉野本 勇気岩崎 秀樹
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抄録

筆算や論証は和算にはない.こうした伝統を明治の学校教育は覆した.筆算は初等教育に位置付けられたが,論証指導は将来のエリートの育成に向けられていた.当時の文学的な言文一致運動とは異なる角度から,曖昧さの排除や形式的厳密などの言語使用の精緻化が目指されていた.次に,論証がどのように思考を精緻化しうるのかを考察した.論証とは本質的にメタ水準の思考といえ,それゆえ一般性が付加される.あらゆる思考活動において,対象水準の思考を批判的・反省的に捉え,メタ水準で思考することが,対象水準の思考の深化とともに,さらなる発展を可能にする.このような,メタ水準での思考は,今日のリテラシーとして不可欠な要素であり,その基盤的形成に論証指導を位置付けることは今日の教育課題といえる.

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© 2019 日本科学教育学会
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