小児歯科学雑誌
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歯の交換期における咬合推移に関する縦断的研究
蒲生 健司
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1987 年 25 巻 4 号 p. 802-821

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抄録

本研究は学童期にみられる個々の不正咬合が増齢的にどの様な経過をとるのか側方歯萌出順序が咬合形成にどの様に関与しているのかなどについて検討することを目的として行ったものである。
調査資料は昭和55年度岐阜県各務原市立鵜沼第一小学校に入学した1年生の男子88名,女子72名,計160名であり6年生に進級した昭和60年度まで定期的に継続調査が可能であった男子6 4 名, 女子4 8 名, 計1 1 2 名である。調査はB j o r k らの方法に従い, 1) 歯牙年齢の経年別発現頻度および各永久歯の萌出率,2)各不正咬合の発現数と頻度並びに経年的推移,3)側方歯の萌出順序と各不正咬合発現との関連性を知る上で,側方歯の萌出順序を調査した。その結果,
1)増齢的に増加傾向にあった不正咬合は上顎前突,第1大臼歯遠心位咬合,過蓋咬合,Inversion,鋏状咬合および下顎臼歯部叢生であった。
2)増齢的に減少傾向が認められたものは下顎前突,開咬,大臼歯部交叉咬合および下顎切歯部叢生であった。
3)各不正咬合と側方歯萌出順序との関係では,上顎前突は4→3→5と3・4→5と4→3→5の萌出型が多く認められ,Inversionでは4→5→3と3→4→5の萌出型が多く,また過蓋咬合は4→3・5と4→3→5の萌出型に多く認められた。以上より上顎前突,Inversion,過蓋咬合の発現に側方歯の萌出順序が係りをもつことが示唆され,また今回の縦断的研究により,横断的研究だけでは得られなかった不正咬合の推移が伺えた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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