小児歯科学雑誌
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小児の咀嚼経路に関する研究
前頭面における咀嚼パターンについて
会田 栄一今村 基遵河田 典雄長門 洋代石黒 裕茂小野 俊朗黒須 一夫
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1988 年 26 巻 1 号 p. 19-29

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抄録
小児の咀嚼運動を明らかにするために, 歯牙年齢IIA~IIIBにおける健全な小児20名の咀嚼運動経路を観察した.記録・解析装置はサホンビジトレーナーCII型を用いた.試験食品は,レーズン,チューイングガム,ピーナッツの3種とした.前頭面への投影図をパターン化し,各歯牙年齢および各試験食品ごとに検討を加え,以下の結果を得た.
1)小児の前頭面における咀嚼経路は,咀嚼側より閉口し再び咀嚼側に開口する型が最も多く,全体の74.8%であった.
2)IIAすなわち平均5歳6カ月の乳歯列を有する小児は,すでに成人と同様の咀嚼経路が最も多く認められた.
3)レーズンとチューイングガム咀嚼は同じ傾向の咀嚼経路を示し,成人の場合と同様に咀嚼運動の恒状性が高かった.この傾向は,チューイングガムにより強く現れた.
4)IIA~IIIAの時期とIIIBの時期とでは,咀嚼運動経路の出現状態が明らかに異なっていた.この傾向は,レーズン,チェーイングガムの順に強く,ピーナッツでは認められなかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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