小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
26 巻 , 1 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 日本小児歯科学会
    1988 年 26 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    日本小児歯科学会は昭和58年度(1983)の日本歯科医学会学術研究費の助成を得て,わが国における小児の乳歯,永久歯の萌出時期に関する調査を行った.
    調査は,1984年1月より同8月の間に0歳から18歳にある日本人総数46,698名(男子23,610名,女子23,088名)を対象に全国歯科大学(歯学部)小児歯科学講座が中心となって全国的な規模で実施した.
    調査は,歯の萌出時期に影響を及ぼし,また,歯種ならびに萌出判定困難な全身的,局所的疾患を有するものは除外し, 一定の判定基準, すなわち, 切端, 咬頭または歯冠の一部が歯肉面より1mm以下での萌出状態にあるものを萌出歯として判定を行った.そしてつぎのような結果を得た.
    1)乳歯萌出時期に関しては表2,表3に示す数値を得た.
    2)永久歯萌出時期については表4,表5に示す数値を得た.
    3)1カ月間隔,6カ月間隔での乳歯萌出率については表6,表7のごとき数値を得た.
    4)1カ月間隔,6カ月間隔での永久歯萌出率については表8,表9のごとき数値を得た.
    5)乳歯萌出順序については上下顎,また=男女ともA→B→D→C→Eであった.
    6)永久歯萌出順序に関しては,男女とも上顎は6→1→2→4→3→5→7→8,下顎は1→6→2→3→4→5→7→8であった.
    7)乳歯萌出時期に関する性差では,下顎乳中切歯において男子の方が早く萌出する以外,両者間に差は認められない.
    8)永久歯萌出の性差に関しては,一般に女子の方が早く萌出する傾向がみられた.
    9)本調査結果にもとついてSchour,Masslerの原図を改変して日本人小児の萌出図表を作製した.
  • 会田 栄一, 今村 基遵, 河田 典雄, 長門 洋代, 石黒 裕茂, 小野 俊朗, 黒須 一夫
    1988 年 26 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の咀嚼運動を明らかにするために, 歯牙年齢IIA~IIIBにおける健全な小児20名の咀嚼運動経路を観察した.記録・解析装置はサホンビジトレーナーCII型を用いた.試験食品は,レーズン,チューイングガム,ピーナッツの3種とした.前頭面への投影図をパターン化し,各歯牙年齢および各試験食品ごとに検討を加え,以下の結果を得た.
    1)小児の前頭面における咀嚼経路は,咀嚼側より閉口し再び咀嚼側に開口する型が最も多く,全体の74.8%であった.
    2)IIAすなわち平均5歳6カ月の乳歯列を有する小児は,すでに成人と同様の咀嚼経路が最も多く認められた.
    3)レーズンとチューイングガム咀嚼は同じ傾向の咀嚼経路を示し,成人の場合と同様に咀嚼運動の恒状性が高かった.この傾向は,チューイングガムにより強く現れた.
    4)IIA~IIIAの時期とIIIBの時期とでは,咀嚼運動経路の出現状態が明らかに異なっていた.この傾向は,レーズン,チェーイングガムの順に強く,ピーナッツでは認められなかった.
  • 石川 千鶴, 岡崎 淑子, 鈴木 有希子, 向山 賢一郎, 弘田 和彦, 向井 美恵, 佐々 竜二
    1988 年 26 巻 1 号 p. 30-40
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の摂食機能の発達過程を知る目的で, 1 歳6 カ月児の咀嚼機能の現状, 歯の萌出状態,乳児期の離乳の既往,食環境についてアンケート調査を行い検討を加えた.対象は,1歳6カ月歯科健診に来所した480名であり,以下のような結論を得た.
    1)「食物をかんで食べているか」の問に対しては,「あまりかまない」と答えた者が半数を占めた.
    2)第1乳臼歯の萌出は,「食物をかむ状態」にある程度関与することが推察された.
    3)全体の1/4の者は摂食時に,「大きいと嫌がる」「硬いと嫌がる」「なかなか飲み込まない」のいずれかがあると答えていた.
    4)離乳開始は,4カ月,離乳終了は,12カ月が最も多かった.また,離乳食の調理で,「硬さや大きさ」に気をつけた者のうち, 「よくかんでいる」と答えた者が多く, 「あまりかまない」と答えた者との間に,有意差が認められた.
    5)「あまりかまない」「かまずに丸飲みする」と答えた者は好き嫌いが多く,「よくかんでいる」と答えた者との間に有意差が認められた.
    6)摂食時に「大きいと嫌がる」「硬いと嫌がる」「なかなか飲み込まいない」と答えた者は,そのようなことがない者に比べ好き嫌いが多く,両者に有意差が認められた.
    7)食事の自立度においては,ほとんどの者が自立していた.
    8)食事の共食状態では,1人で食べる者も少数ではあるが認められた.
  • 矢尾 和彦, 神原 修, 下田 豊, 稗田 豊治, 李 亘浩
    1988 年 26 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    化学重合型および光重合型シーラントについて, シーラント周囲の未重合レジンモノマーの広がり率,重合阻止層の厚さおよび重合時の温度などを測定するとともに,余剰酸処理面に残留する未重合レジンモノマーの除去方法を検討し,以下のような結果をえた.
    1)未重合レジンモノマーの広がり率は,化学重合型に比較して光重合型の方が顕著に少ないことが判った.これは主としてシーラントの表面にできる未重合レジンモノマーの量の差によるものと考えられる.
    2)重合阻止層の厚さは,化学重合型の場合に比較して光重合の方が顕著に薄いことが判った.これはシーラントの重合時に光重合型では化学重合型の作業可能時間に相当する誘導期間がないことと,重合が表層から開始することのためにラジカルと酸素の結合する時間が化学重合型の場合よりも短いことなどによるものと考えられる.
    3)余剰酸処理歯面に流れた未重合レジンモノマーは,水洗によって除去できなかったが,アセトン洗浄または回転ブラシ清掃によって除去することができた.
    4)アセトンで未重合レジンモノマーを除去した場合は,酸処理によるエナメル質の微細構造は残されたが,回転ブラシを用いた場合は破壊された.
  • 井出 正道, 水野 弥生, 守安 克也, 大森 郁朗
    1988 年 26 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    可視光線重合型レジンの普及にともない, 覆髄剤として臨床の場で広く用いられているDycalにも, 可視光線重合型の“Prisma VLC Dycal”が開発された.本研究は“Prisma VLC Dycal”(以下VLC Dycalと略す)の臨床への応用価値を評価するため,本剤の性状を検索することを目的としたものである.VLC Dycalの化学的性状, 物理的性状, および歯髄反応について,Dycalを対照として検討したところ, 以下の結論を得た.
    1)VLC Dycalは,Dycalと比較すると,圧縮強さがおよそ10倍であった.
    2)VLC Dycalの水溶性は,Dycalと比較して大きいが,これはVLC Dycalの未重合層からのカルシウムの溶出によるものと推察された.しかし,そのカルシウム溶出率は0.24%と微量であり,水溶性の覆髄剤であるとは考えられない.
    3)VLC Dycalは,Dycalと比較すると,耐酸性が著しく高かった.
    4)VLC Dycalに対する歯髄反応は,Dycalに対する歯髄反応と比較して,劣るものではなかった.
  • 藤原 理彦
    1988 年 26 巻 1 号 p. 55-79
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    極小未熟児,超未熟児の幼児の頭蓋および顎顔面形態の特微を,計測分析することで,いわゆる"未熟児顔貌"といわれている頭蓋形態,歯列形態を客観的に明らかにすることを目的として本研究を行った.資料は本学小児歯科に管理中の,出生時体重1500g未満の小児のうち,現在全身状態に特に問題のない資料採得時年齢,平均3歳11カ月の小児20名より得られた,歯列石膏模型および頭部X線規格写真(側貌・正貌)である.これらより以下のごとき知見を得た.
    1)歯列形態は全体的に小さく,幅径が臼歯部でより小さく,長径は平均に近いU字型を示した.口蓋の深さは前方部で平均に近く,後方部では浅くなる傾向を示した.
    2)側貌頭部X線規格写真より角度の計測では,全体的に平均に近いプロフィールを示す中で下顎骨後方の発育にやや問題があった.長さの計測からは相対的にみて,脳頭蓋(冠)都で前後に大きく,上・中顔面部でこれにつぎ,下顔面部で小さい傾向を示した.また高さよりも深さに関係する項目でやや大きな値を示した.
    3)正貌頭部X線規格写真より頭蓋骨の幅径を計測した結果,輪郭上の各計測項目で小さな値を示し,特に最大頭蓋幅で顕著であった.以上のごとく,4歳時点での形態特徴は,頭蓋が幅径で圧偏され,奥行きの深い,下顎の小さな形態で,これは歯列形態にも多少の影響が及んでいた.
  • 細矢 由美子, 古豊 史子, 後藤 讓治
    1988 年 26 巻 1 号 p. 80-88
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    村上色彩技術研究所製ライトガイド方式色差計CD-270型のライトガイドの受光部を乳前歯測色用に2mmφと小さくし,小面積の測色に適した円周照射零度受光の形式に変えた改良ライトガイド(CD-270改良型)を使用し,3歳から5歳2カ月(平均年齢3歳11カ月)の小児30名の正常乳前歯歯冠色の測色を行った.そして,村上色彩技術研究所製ライトガイド方式色差計CD-270型(CD-270型)及び日本電色社製Color and Color Difference Meter 1001 DP型(1001 DP型)の測色結果と比較し,下記の結論を得た.
    1)正常乳前歯歯冠色の測色平均値は,色差計とライトガイドの種類により異なった傾向の数値を示した.
    2)CD-270改良型使用時のa*b*の平均値は,1001DP型使用時の測色値同様,どの歯種も極めて0に近い低い値を示した.
    3)しかし,CD-270型使用時のa*b*の平均値は,他の計測機使用時の測色値と異なった高い値を示した.
    4)上顎乳中切歯の平均値に対する歯種別平均値のΔE*は,計測機による差が認められた.
    5)刺激値直読式色差計の臨床的使用については,さらに基礎的な検討が必要である.
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1988 年 26 巻 1 号 p. 89-96
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    色差計とライトガイドの機構の差が測色値に及ぼす影響を観察する事を目的に本研究を行った.計測機としては,村上色彩技術研究所製ライトガイド方式色差計CD-270型(CD-270型),同色差計に改良ライトガイドを接続したもの(CD-270改良型)及び日本電色社製Color and Color Difference Meter 1001 DP型にOptical Head OFC-1001DP型を接続したもの(1001 DP型)を使用した.そしてこれらの計測機でPhoto-Clearfil-A並びにSilux付属のコンポジットレジンシェードガイドの測色を行った.
    その結果,色差計とライトガイドの種類が異なると,シェードガイドによっては,異なった傾向の測色平均値を示し,同じシェードガイド間でも色差に顕著な差がみられた.すなわち,色差計とライトガイドの機構の差は,測色値に影響を及ぼしていた.
  • 広瀬 永康
    1988 年 26 巻 1 号 p. 97-111
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本実験は小児の咀嚼機能を四肢筋の成長発育と関連させ評価する目的で咬合力と握力発現時の筋活動について検討した.被検者は全身的に健康で顎口腔機能に障害のない,乳歯列期小児10名(G1),混合歯列期前期小児10名(G2),混合歯列期後期小児10名(G3),および永久歯列期10名(G4)の計40名を対象とし,筋電図は,右側側頭筋および咬筋より双極表面電極にて導出した.また同様に握力発現時の前腕屈筋の筋活動も観察した.
    その結果
    1)最大咬合力は,G1からG2の増加量より第一大臼歯で咬合させたG2からG3,G3からG4への増加量が著しく大きく,また最大咬合力発現時間は減少する傾向がみられた.
    2)咬合力が増大するに従って咬みこむ速度も大となり,咬合力だけでなく咀嚼筋の瞬発力も増齢的に大きくなることが認められ,また咬合開始から580msecまでの積分値では,咬筋活動量及び総筋活動量は増齢的に増加が認められた.
    3)側頭筋と咬筋の筋活動量の比較では,G1,G2が側頭筋主働型でG3,G4が咬筋主働型で第一大臼歯が咬合参加にする頃側頭筋主働から咬筋主働への転換が認められた.
    4)咬合力と握力との関係では最大咬合力と最大握力,最大咬合速度と最大握力速度に正の相関を認め,四肢筋と咀嚼筋の機能的発達に共通点が認められた.咬合力と握力では咬合力の方が強く,また瞬発力も四肢筋より咀嚼筋の方が強かった.
    以上の結果より小児の成長発育による咀嚼筋の咬合瞬発力の著しい増加は混合歯列期後半からの咬筋の成長発育が大きく関与していることが示唆された.
  • 湖城 秀久
    1988 年 26 巻 1 号 p. 112-130
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳児の口腔の成長発育にともなう,形態的な成長の推移を知る目的で,上,下顎歯槽部および口蓋部の三次元的観察を行った.資料は,出生後1カ月より12カ月までの間に,同一個人で少なくとも4カ月以上継続して追跡できた19名(男子8名,女子11名)から,1カ月毎に得られた経時的な上,下顎石膏模型である.
    その結果,
    1)上,下顎の各歯槽長径は,経時的に増大していく傾向を示した.とくに下顎前歯部では出生後1~4カ月の早い時期に,上,下顎の乳臼歯部およびその後方部では後半期(出生後7~12カ月)に大きな増加傾向を示した.
    2)上,下顎の各歯槽幅径は,前半期(出生後1~6カ月)に大きな増加を示し,その後はゆるやかな増加傾向を示した.なかでも乳臼歯部およびその後方部では,後半期(出生後7~12カ月)においても継続して大きな増加傾向を示した.
    3)口蓋高径は,若千増加傾向を示すものの,全観察期間を通じてほぼ変化なく推移していた.
    4)矢状断口蓋形態は,S字状の形態を呈していた.
    5)乳児期の口蓋に特徴的にみられる傍歯槽堤は,出生後1~2カ月頃まで明瞭にみられるが,その後次第に不明瞭になって行く傾向を示した.
    6)個成長については,個体別の成長様式に4つの型が認められ,出生後1年間においても個体の成長様式には種々の変化がみられた.
  • 猪狩 和子
    1988 年 26 巻 1 号 p. 131-145
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    生活歯髄切断法において, 殺菌と歯髄表層の固定を目的として歯髄切断面を酸性GAで処理した場合の効果を,水酸化カルシウム糊剤被覆群と酸化亜鉛糊剤被覆群について検討し次の結果を得た.
    1)モデル実験では,酸性GA貼布によりpH値が低下した面に,水酸化カルシウムを貼布すると,直ちに強アルカリに変化し,水酸化カルシウムのpH値は酸性GAの影響をうけなかった.
    2)イヌ幼若永久歯による実験では,使用したGAの濃度に関わらず,術後4週で,水酸化カルシウム糊剤被覆群は象牙質様の庇蓋硬組織の形成をみたが,酸化亜鉛糊剤被覆群はその形成をみなかった.
    3)術後4週で,5%GA併用群は2%より歯髄組織における炎症性変化が強かった.水酸化カルシウム糊剤被覆群は酸化亜鉛糊剤被覆群に比べ,濃度差の影響が少なかった.
    4)水酸化カルシウム単味群と,5%GAと水酸化カルシウム併用群は時間の経過と共に歯髄組織における炎症性変化の軽減を示したが,5%GAと酸化亜鉛併用群は,8週後で歯髄全体に線維化を示した.
    5)5%GAと水酸化カルシウム併用群は,水酸化カルシウム単味群に比較して象牙質様庇蓋硬組織の形成の開始は遅いが,8週後にみられた庇蓋硬組織の厚径は大きかった.
    6)GAと水酸化カルシウム併用法は,生活歯髄切断法に有効である.
  • 関本 恒夫, 辻 裕子, 川俣 純子, 浜地 宏哉, 溝呂木 英二, 岩渕 法一, 上保 一之, 三浦 みつ子, 萩原 洋子, 坂井 正彦
    1988 年 26 巻 1 号 p. 146-153
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列から永久歯列へ推移する際に咬合形態に影響をおよぼす因子をさぐる目的で,正常な乳歯列が不正咬合の永久歯列へ推移したものについて,フーリエ解析を用いて歯列弓,歯槽基底弓の形態について検討を行い,第一報の正常咬合の結果と比較した.
    資料は第一報の資料に加え,正常咬合の乳歯列が永久歯列で不正咬合となった男児5名,女児3名,計8名の経年歯列石膏模型を用いた.その結果,以下の結論を得た.
    1)歯列弓,歯槽基底弓の形態の個体差においては,不正咬合群では乳歯列期の歯列弓の形態においてばらつきが多く,正常咬合群に比べ個体差が認められた.
    2)乳歯列と永久歯列との関連性については,不正咬合群では正常咬合群に比べ乳歯列から永久歯列にかけて,上下顎とも歯槽基底弓の大きさに変化がみられなかった.
    3)乳歯列期での歯列弓,歯槽基底弓の形態の比較においては,不正咬合群では上顎歯槽基底弓の大きさが小さく,特に前方部で著明であった.
    4)以上のことより,不正咬合の永久歯列へ推移する乳歯列では,上顎歯槽基底弓の形態が重要な因子のひとつとなっていると思われた.
  • 浜地 宏哉, 川俣 純子, 辻 裕子, 溝呂木 英二, 上保 一之, 岩渕 法一, 三浦 みつ子, 萩原 洋子, 関本 恒夫, 坂井 正彦
    1988 年 26 巻 1 号 p. 154-162
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    関本は正常咬合の乳歯列が永久歯列へ推移した時に不正咬合となったものについて,フーリエ解析を用いて検討を行い,特に上顎歯槽基底弓の形態において違いがあることを報告している.そこで本研究では特に上顎歯槽基底弓について,正常咬合の乳歯列が正常咬合の永久歯列へ推移したものと,不正咬合の永久歯列へ推移したものの長径,幅径の経年的な変化について模型計測により比較を行った.
    資料は正常咬合乳歯列が,正常咬合の永久歯列に推移した16症例と,不正咬合の永久歯列に推移した8症例の経年歯列石膏模型を用いた.その結果,以下の結論を得た.
    1.乳歯列前期,後期における正常咬合群と不正咬合群の比較では,乳歯列後期の乳犬歯間幅径の大きさで不正咬合群が小さく,明らかな違いがみられた.
    2.乳歯列前期から後期にかけての変化は乳犬歯間歯槽基底幅径で正常咬合群でのみ有意に増加していた.
    3.個々の症例の推移では,不正咬合に推移した症例は正常咬合に推移した症例に比べ,乳犬歯間歯槽基底幅径の増加量が明らかに少なかった.
    4.乳犬歯間歯槽基底輻径の発育は正常な永久歯列へ推移する大きな因子となっていると思われた.
  • 夏野 伸一, 小口 春久, 加藤 尚之, 佐藤 美樹, 及川 清
    1988 年 26 巻 1 号 p. 163-169
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和54年4月から昭和61年10月までの7年7カ月の間に, 本学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した心身障害児を対象として歯科疾患の罹患状況および治療成績を調査した.
    対象としては,上原の分類によるIV群,V群,VI群およびVII群の疾患を有する患児341名(男199名,女142名)について検討した.
    疾患別患者数は,心臓疾患が154例と最も多く,ついで全身疾患99例,血液疾患46例,言語障害42例であった.初診時の年齢は2~6歳までが全体の65%を占めていた.初診時の主訴は, 齲蝕処置が313例で全体の91.8%を占めており, その多くは本学医学部附属病院からの紹介患者であった.
    疾患別齲蝕罹患状況では,各疾患別に健常児と比較した結果,何れの疾患においても齲蝕罹患状態は極めて高く,齲蝕治療を受けないままに放置されているものが多かった.
    乳歯の治療内容では,修復処置を受けたものが最も多く41.2%を占め,続いて歯髄および根管処置,抜歯,予防処置であった.永久歯の治療内容では,修復処置39.4%,ついで予防処置,歯髄および根管処置,抜歯の順であった.
    定期診査時の齲蝕発症については,再処置歯率に比べて,新生齲蝕歯率が有意に高かった.
  • 大土 努, 斉藤 隆裕, 楽木 正実, 祖父江 鎮雄
    1988 年 26 巻 1 号 p. 170-179
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯冠の形成から萌出に至る牛歯エナメル質の成熟過程を,エナメル質の表層から内層に向かう変化,および切端側から歯頸側への変化を考慮して評価した.そのため各種形成段階にある牛歯薄切切片を用い,石灰化度の変化を顕微X線写真法で,Ca,P,MgおよびClの含有量の変化と分布をX線マイクロアナライザーで分析した.その結果:
    1)歯冠が1/2程度形成されてから完成までの間に,CaおよびPの含有量は萌出歯の約半分量から増加し,萌出歯の80%以上の量となった.しかし石灰化度は萌出歯の1%以下であった.またMgおよびClの含有量はゆるやかに増加した.
    2)歯根形成期ではその初期で,すでにCaおよびPの含有量は萌出歯と同程度となった.石灰化度はこの時期においても上昇するが程度はごく僅かであった.MgおよびClの含有量の増加は歯冠形成期と同様に続いた.
    3)歯根形成期の後半では,CaおよびPの含有量に変化はないが,石灰化度は大きく上昇し,表層より内層のほうが石灰化度は高かった.Mgの含有量は表層から60μmで著明に増加するが,それより内層での増加はゆるやかであった.Clの含有量の上昇は続いて観察された.
    4)萌出期にもCa,PおよびMgの含有量に変化はみられなかった.しかし石灰化度の上昇は続き,萌出の前後でも差が認められた.Clの含有量は内層が上昇することにより,全層でほぼ一定となった.
  • 木暮 エリ, 富沢 美恵子, 野田 忠, 福島 祥絋
    1988 年 26 巻 1 号 p. 180-185
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    口腔領域において, 外的刺激による線維性過形成病変はしばしば遭遇するものであるが乳幼児期における報告は数少ない.
    著者らは,2歳8カ月女児の上顎左側乳中切歯口蓋側歯頸部に腫瘤を生じ,病理組織検査の結果,線維性過形成と診断された1例を経験したので報告する.本症例の腫瘤には,多数の上皮島が観察され,一剖には,石灰化物を含むものもあり,上皮島の由来について検索するため,連続切片により観察を行った.その結果,被覆上皮との明らかな連続性は認められなかったが, 深部歯胚組織との関連はなく, 上皮島の形態から, 口腔粘膜上皮由来と考えられた.
  • 藤井 ますみ, 柳田 絵里子, 佐多 欣司郎, 船越 禧征, 稗田 豊治
    1988 年 26 巻 1 号 p. 186-195
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Silver-Russell症候群は, 満期産の低体重と低身長, 身体の非対称性, 性発育異常を主症状とする原発性の小人症で,頭蓋・顔面部にも異常がみられることから,本症候群児の顎・顔面および口腔領域の特徴を歯科的に検討することは, 意義あるものと考えられる.
    頭蓋・顔面部に認められる特徴として,偽水頭症,逆三角形の顔貌,小下顎症,への字様の口および高口蓋などが報告されている.私たちは,Silver-Russell症候群の1例を観察する機会を得たので,主として歯科的所見について,その概要を報告する.
    症例は4歳1カ月の女児で,齲蝕処置を主訴として来院したものである.
    在胎期間40週,出生時体重2346g,身長48cmの低出生体重児であった.
    妊娠期間中の異常はなく,両親および姉は健全で,家系中に遺伝性疾患を有するものはない.
    頭蓋・顔面所見としては,前額部が大きく,逆三角形の顔貌を呈し,耳介低位が認められた.また,口腔内所見としては,歯冠近遠心幅径は,いずれの乳歯も標準値より小さく,歯髄腔は大きく,特に,乳犬歯・乳臼歯で著明であった.上下顎歯列弓も長径,幅径とも標準値より小さかった.歯列弓の形態は,上顎では,左右の非対称性はみられなかったが,下顎では,左側の歯列弓長径が右側に比べて少し長かった.
  • 武田 泰典, 黒田 政文, 甘利 英一
    1988 年 26 巻 1 号 p. 196-198
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    萌出性腐骨(eruption sequestrum)の1症例について,その病理組織所見を報告する.患児は6歳の男子で,萌出中の下顎左側第一大臼歯の咬合面上に,歯肉と線維性に結合した硬組織小片がみられた.この硬組織小片はレントゲン的には淡い骨様不透過像を呈した.病理組織学的には壊死に陥った皮質骨からなり,種々の程度の吸収像をみるとともに,骨吸収面にはヘマトキシリンに濃染する細菌が多数集積していた.骨組織に接する歯肉には慢性炎症性変化がみられた.萌出性腐骨は病的意義には乏しいものの,ときとして歯肉炎や歯冠周囲炎を惹起することがあるものと考えられた.
  • 1988 年 26 巻 1 号 p. 199-251
    発行日: 1988/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 26 巻 1 号 p. 255-
    発行日: 1988年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
feedback
Top