小児歯科学雑誌
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“Prisma VLC Dycal”に関する基礎的研究
井出 正道水野 弥生守安 克也大森 郁朗
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1988 年 26 巻 1 号 p. 50-54

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抄録
可視光線重合型レジンの普及にともない, 覆髄剤として臨床の場で広く用いられているDycalにも, 可視光線重合型の“Prisma VLC Dycal”が開発された.本研究は“Prisma VLC Dycal”(以下VLC Dycalと略す)の臨床への応用価値を評価するため,本剤の性状を検索することを目的としたものである.VLC Dycalの化学的性状, 物理的性状, および歯髄反応について,Dycalを対照として検討したところ, 以下の結論を得た.
1)VLC Dycalは,Dycalと比較すると,圧縮強さがおよそ10倍であった.
2)VLC Dycalの水溶性は,Dycalと比較して大きいが,これはVLC Dycalの未重合層からのカルシウムの溶出によるものと推察された.しかし,そのカルシウム溶出率は0.24%と微量であり,水溶性の覆髄剤であるとは考えられない.
3)VLC Dycalは,Dycalと比較すると,耐酸性が著しく高かった.
4)VLC Dycalに対する歯髄反応は,Dycalに対する歯髄反応と比較して,劣るものではなかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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