小児歯科学雑誌
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極小未熟児・超未熟児の頭蓋および顎顔面形態に関する研究
藤原 理彦
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1988 年 26 巻 1 号 p. 55-79

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抄録
極小未熟児,超未熟児の幼児の頭蓋および顎顔面形態の特微を,計測分析することで,いわゆる"未熟児顔貌"といわれている頭蓋形態,歯列形態を客観的に明らかにすることを目的として本研究を行った.資料は本学小児歯科に管理中の,出生時体重1500g未満の小児のうち,現在全身状態に特に問題のない資料採得時年齢,平均3歳11カ月の小児20名より得られた,歯列石膏模型および頭部X線規格写真(側貌・正貌)である.これらより以下のごとき知見を得た.
1)歯列形態は全体的に小さく,幅径が臼歯部でより小さく,長径は平均に近いU字型を示した.口蓋の深さは前方部で平均に近く,後方部では浅くなる傾向を示した.
2)側貌頭部X線規格写真より角度の計測では,全体的に平均に近いプロフィールを示す中で下顎骨後方の発育にやや問題があった.長さの計測からは相対的にみて,脳頭蓋(冠)都で前後に大きく,上・中顔面部でこれにつぎ,下顔面部で小さい傾向を示した.また高さよりも深さに関係する項目でやや大きな値を示した.
3)正貌頭部X線規格写真より頭蓋骨の幅径を計測した結果,輪郭上の各計測項目で小さな値を示し,特に最大頭蓋幅で顕著であった.以上のごとく,4歳時点での形態特徴は,頭蓋が幅径で圧偏され,奥行きの深い,下顎の小さな形態で,これは歯列形態にも多少の影響が及んでいた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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