小児歯科学雑誌
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小児歯科外来を訪れた心疾患児の実態調査
大西 暢子桜井 聡猪狩 和子神山 紀久男
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1988 年 26 巻 3 号 p. 459-469

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抄録

昭和56年1月から昭和61年12月末までの過去6年間に東北大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した先天性心疾患を有する患児96名(男児57名,女児39名)を対象に,その歯科的な問題を中心に実態調査を行った.なお,唇顎口蓋裂など口腔に高度の奇形を合併する患児は今回の調査からは除外した.
患児は,心疾患の根治手術直前の場合が多く,入院中に隣接する医学部附属病院胸部外科から紹介され来院することが多かった.当科を受診したのは開心術前の感染源除去を目的とした齲蝕治療を希望したためで,患児の約半数を占めた.病型別では非チアノーゼ群では心室中隔欠損症,チアノーゼ群ではファロー四徴症の占める割合が高かった.また,従来の報告同様,先天性心疾患児の齲蝕罹患率は高く,当小児歯科外来を同時期に来院した全身疾患,異常を認めない一般外来患児のそれと比較した結果,1人平均df歯数は2~8 歳の各年齢で高い値を示した.初診時に施された歯科処置は, 保存修復処置が最も多く,以下抜歯,歯髄処置の順であったが,一般外来児に対してなされた処置と比較すると抜歯の施される割合が高かった.また,定期検診は約半数の患児が受診しており,依然として保存修復処置の施される割合は高かったが,初診時に比べて予防処置の割合が増加していた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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