小児歯科学雑誌
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下顎第二乳臼歯歯冠外形と歯髄腔との関係
立体構築による三次元的解析
野坂 久美子伊藤 雅子小野 玲子熊谷 恵津子甘利 英一
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1988 年 26 巻 3 号 p. 491-506

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抄録

下顎第二乳臼歯40歯を用い,髄室から歯冠表面までの距離を測定した.研究方法は,上顎乳臼歯,下顎第一乳臼歯と同様である.観察面は,咬合面観,頬舌側面観,近遠心面観,ならびに中央窩における近遠心,頬舌側の切断面である.
結果:髄室から咬合面までの距離では,頬側而観における近心頬側髄室角の2.7mmが最小値で,髄室角の切断面では,さらに小さい2.4mmであった.また,頬側面観では髄室はほぼ中央に位置していたが,舌側面観では髄室角のみが近心側に偏位し,他の部位は中央に位置していた.隣接面観では,髄室角,髄室最大豊隆部が舌側へ偏位していた.髄室から歯冠外周までの距離について,髄室角では,隣接面観の舌側の2.6mmが最小値であり,髄室角の切断面ではさらに小さい2.3mmであった.髄室最大豊隆部から歯冠外凋までの距離の最小値は, 隣接面観の近遠心側の2.0mmであった.髄室最陥凹部,歯頸部でも,隣接面までの距離が小さく,前者で1.9mm,後者で1,6mmであった.中央窩から髄室までの距離は,約3.1mmであった.咬頭頂に対する髄室角の位置は,遠心髄室角と遠心舌側髄室角がより内方に位置し約1.5mmであった.他の髄室角は1mm弱内方に存在した.歯根の吸収段階では,髄室から咬合面までの距離で,遠心頬側髄室角付近のII型が大きい距離であった.しかし,近心頬側髄室角は咬合面へ強く突出し,その距離が最小であることから,この部位の窩洞形成には十分に注意する必要がある.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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