小児歯科学雑誌
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ラットにおけるミュータンスレンサ球菌に対する免疫応答- 感染後の経時的変化について-
北村 京一森崎 市治郎祖父江 鎮雄
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キーワード: 免疫応答, 経口免疫寛容
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1989 年 27 巻 2 号 p. 317-323

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抄録
SPFのSprague Dawley系ラット口腔に,S.sobrinus6715株を感染し,血清および脾臓細胞の同菌に対する抗体反応を経時的に調べた。感染群ラットの血清IgG抗体価は,非感染群に比較して僅かに上昇するものの,両群間に有意な差は認められなかった。一方,感染群の血清IgA抗体価は,感染後1-6週では非感染群の2-9倍の高い値を示した。しかし,感染後7週以隆では.両群間の差は消失した。
さらに,S.sobrinus6715株に対する脾臓細胞の抗体産生をTNP-PFC法を用いて調べたところ, 感染群の抗T N P - S . s o b r i n u s I g M 抗体産生細胞数は, 非感染群に比較して次第に減少する傾向が示された。感染群のIgG抗体産生細胞は,感染後1-3週にかけて上昇したがそれ以降は検出されなくなった。IgA抗体についても,感染後1週で最大を示し,それ以降は検出されなかった。
以上の結果から, ラットにおけるS . s o b r i n u s 6 7 1 5 株の口腔感染は, 初期には抗体反応を惹起するものの,次第に免疫応答が消退する現象,即ち経口免疫寛容の状態が誘導される可能性が示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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