小児歯科学雑誌
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27 巻 , 2 号
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  • 加我 正行, Seale N. S., 及川 清
    1989 年 27 巻 2 号 p. 313-316
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    可視光線重合型覆髄剤(VLC Dycal)の臨床使用の適否について調べるため,FDIの歯科材料毒性試験法である寒天重層法を一部改変した方法を考案してヒト歯肉由来線維芽細胞を用いて組織培養にて実験した。比較検討のため可視光線重合型コンポジットレジンのP - 3 0 とS i l u x ( 3 M 社製) そしてD y c a l ( C a u l k 社製) と水酸化カルシウム単味を使用した。その結果,可視光線重合型コンポジットレジンの細胞毒性はP-30が30秒,Siluxが50秒の光照射時間で細胞毒性が消失した。しかし,可視光線重合型覆髄剤(VLC Dycal)の細胞毒性は60秒の光照射でも消失しなかった。その細胞毒性の大きさは水酸化カルシウムとDycalの細胞毒性と同じであった。これは可視光線重合型覆髄剤(VLC Dycal)が窩洞内に裏層された場合に,光照射によって重合し,レジンの毒性が歯髄刺激に関与しない程度にまで減少して,次にカルシウムが溶出して二次象牙質の形成を促すように作用することを示唆している。
  • 北村 京一, 森崎 市治郎, 祖父江 鎮雄
    1989 年 27 巻 2 号 p. 317-323
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    SPFのSprague Dawley系ラット口腔に,S.sobrinus6715株を感染し,血清および脾臓細胞の同菌に対する抗体反応を経時的に調べた。感染群ラットの血清IgG抗体価は,非感染群に比較して僅かに上昇するものの,両群間に有意な差は認められなかった。一方,感染群の血清IgA抗体価は,感染後1-6週では非感染群の2-9倍の高い値を示した。しかし,感染後7週以隆では.両群間の差は消失した。
    さらに,S.sobrinus6715株に対する脾臓細胞の抗体産生をTNP-PFC法を用いて調べたところ, 感染群の抗T N P - S . s o b r i n u s I g M 抗体産生細胞数は, 非感染群に比較して次第に減少する傾向が示された。感染群のIgG抗体産生細胞は,感染後1-3週にかけて上昇したがそれ以降は検出されなくなった。IgA抗体についても,感染後1週で最大を示し,それ以降は検出されなかった。
    以上の結果から, ラットにおけるS . s o b r i n u s 6 7 1 5 株の口腔感染は, 初期には抗体反応を惹起するものの,次第に免疫応答が消退する現象,即ち経口免疫寛容の状態が誘導される可能性が示唆された。
  • 森主 宜延, 奥 猛志, 大野 秀夫, 小椋 正, 末永 重明, 野井倉 武憲
    1989 年 27 巻 2 号 p. 324-331
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,Fuji Computed Radiography (FCR)を使用し,思春期の顎関節症患者を有する38名の顎関節内を検討することにある。
    得られた結果は,つぎのようであった:
    1)顎関節症症状を有する群における下顎窩にたいする下顎頭の位置において,後方位の発現頻度が,顎関節症症状を持たない群よりも高いことが示された。そして,中央位が,治療により改善される位置として好ましいことが示唆された。
    2)顎関節症症状を有する群の下顎頭における形態的異常が明らかにされた発現の頻度は,顎関節症症状を持たない群よりも高かった。
    3)顎関節円板の異常は,顎関節症症状と関連し,特に,雑音と疼痛は,顎関節円板の異常と明らかに関連していた。
    4)思春期における顎関節症患者の顎関節の器質的異常な変化が,示された。
  • 森主 宜延, 大野 秀夫, 奥 猛志, 小椋 正
    1989 年 27 巻 2 号 p. 332-340
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,思春期における顎関節症の原因となる咀嚼筋機能ならびに咬合機能の役割を明らかにすることである。
    著者らは,咀嚼筋ならびに咬合機能と顎関節症症状との関係を咬合接触面数,咬合干渉,歯列模型,そして咀嚼筋筋電図を使用し検討した。特に,咀嚼筋筋電図は,初診時と咬合調整後の比較により検討した。
    対象者は,顎関節症にて来院した外来患者39名である。
    次のような結果が得られた
    1)顎関節症患者における咬合接触面数は,対照とした正常群より少なかった。
    2)非作業側における咬合干渉と顎関節症症状の疼痛との関係において,全ての対象者の76.9%が疼痛の発症と咬合干渉との因果関係を認めていた。
    3)筋電図の積分を使用した分析により,咬合調整後の側頭筋における総活動電位は,減少する傾向を示した一方,咬筋の割合が増加する傾向が示された。
    )咬筋から得られたガム自由咀嚼リズムの比較検討から,咬合調整後のパターンは,初診時よりもより安定していた。
    5)咬合調整後のsilent periodの発現頻度は,初診時より少なかった。silent perioddurationの変化と顎関節症状とで関係があることが示された。
  • 祖父江 英侍
    1989 年 27 巻 2 号 p. 341-354
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    アパタイトの有機酸による脱灰過程は, まず結晶格子の欠陥部にe t c h p i t が形成されることから始まり,腐蝕の進行は転位やすべり線に沿って起こることが明らかにされている。本研究では,酢酸による脱灰がエナメル質アパタイトの結晶性にどのような変化をもたらすかについて検討した。結晶性は回折線プロファイルのバリアンス解析法,フーリエ解析法を用い,結晶子の大きさと格子不整の両因子に分離して評価した。炭酸イオンたどを含まない合成ハイドロキシアパタイトについても同様な酸脱灰実験を行い比較検討した。また,脱灰によるアパタイトの形態変化を透過型電子顕微鏡により観察した。
    その結果,脱灰による形態変化として柱面および基底面に楔状の欠損が認められた。また,結晶の中央部においてc軸方向に脱灰が進んだと思われるスリット状の小孔が観察された。アパタイトの結晶子のサイズは脱灰により小さくなったが,a軸方向に比較しc軸方向により大きな減少が認められた。アパタイトの結晶性は脱灰により向上し,これはmistakeの減少に起因することが認められた。また,mistakeの減少はa軸方向に比較しc軸方向に大きく認められた。
    これらの知見より,エナメル質アパタイトは脱灰されることにより結晶子のサイズは小さくなるものの,主にc軸方向のmistakeの減少により,結晶性は向上することが明かとなった。
  • 小出 武, 藤井 ますみ, 深尾 正, 川村 広, 稗田 豊治
    1989 年 27 巻 2 号 p. 355-363
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    フッ素徐放性レジンの一つであるF l u o rEver® のフッ素放出性について検討するとともに,同レジンを小児義歯の歯牙接触面に埋入することを想定して,ウシエナメル質とレジンを接触させて, 2 8 日間蒸留水中に浸漬し, 同レジンから放出されたフッ素のエナメル質への取り込みについて検討した。また,同様の接触実験をフッ素含有セメントの一つであるフジアイオノマー® を用いて行いFluorEver の場合と比較した。
    F l u o r E v e r からのフッ素の放出傾向は従来から報告されているグラスアイオノマー系セメントの放出傾向に類似していた。フジアイオノマーが多く,7日目以降ではFluorE v e r が多くなった。また, F l u o r Ever では, 体積にほぼ比例してフッ素が放出された。
    エナメル質へのフッ素の取込みは, F l u o r E v e r およびフジアイオノマーともに無処理対照群に比べ有意に高い値を示したが,7日目以降でフッ素の放出量の多かったFluorEverでは,エナメル質の深部のフッ素の取り込みがフジアイオノマーよりも多くなった。
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1989 年 27 巻 2 号 p. 364-376
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    計測機種並びに測色時の背景色がコンポジットレジンの測色値に及ぼす影響について観察した。
    測色計は,村上色彩技術研究所製高速分光光度計CMS-500にフレキシブルセンサーFS-1,FS-2及びFS-3を組み合わせたものと,同社製ライトガイド方式色差計CD-270型に改良型ライトガイドを組み合わせたものを用いた。背景色としては,背景色なしの場合と背景色として白色板及び黒色板を用いた場合の3種類を設定した。
    1)コンポジットレジンの色調は,計測機種別に異なった測色値を示した。
    2)計測機種によっては,背景色がコンポジットレジン色に及ぼす影響の度合が,レジン色やレジン厚径により異なっていた。
    3)コンポジヅトレジンの光学的測色を行うにあたっては,今回用いた測色機種の中では,高速分光光度計CMS-500にフレキシブルセンサーFS-3を組み合わせた場合が最も適していた。
  • 足利 正光, 関 直樹, 高木 みどり, 下岡 正八
    1989 年 27 巻 2 号 p. 377-394
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の歯科治療時,治療椅子のそばに母親を入室させた場合,母親の顔の表情や態度の変化を歯科衛生士がどのように見て認知するかを知るために,母親が治療椅子のそばでとる行動を映像化して歯科衛生士実習生に観察させた。そして, そのときの眼球運動をビジコンアイカメラを用いて記録,分析し次の結論を得た。
    1.テスト映像の全ての情景で,母親の顔,小児の顔,小児の胴,歯科医師の顔を高率に注視した。
    2.全ての情景で,観察の前半に母親の顔を高率に注視し,後半に小児の顔,歯科医師の顔を注視していく傾向にあった。
    3.母親が不安な顔の表情となる情景では,一注視当たりの注視時間が長くなる傾向を示した。
    4.母親の顔の表情の変化だけが起こる情景では,第一停留部位は母親の顔,小児の顔,歯科医師の顔となることが多かった。
    5.走査路は,母親の顔の表情の変化によっては影響をうけず,むしろ手を握るなど情景に新たな要素が加わることで影響をうけ多様化した。
    6.母親が身体の動きを起こした場合,第一停留部位は母親の顔,小児の顔となることが多かった。
    7.歯科医師の顔への注視は母親の態度の変化が多くなるほど少なくなる傾向を示し,その存在は暗黙裡に認知されていることが推測された。
    8.以上より.母親が治療室に入室する場合,不安を表出させる表情や態度をせずに,静かにリラックスして小児を見守っているならば,歯科衛生士には母親の存在は視覚的に影響を与えないことがわかった。
  • 山崎 要一
    1989 年 27 巻 2 号 p. 395-414
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    セルスポットを応用し,複数の下顎任意点について,3次元的に同時運動解析が可能な,下顎多点運動解析システムを開発した。このシステムは,測定時の被験者の負担が少なく,低年齢の小児にも十分使用できるものである。システムの精度については,出力座標値の3次元的歪を補正する方法を考案し,そのプログラムを作製した。これにより,測定視野内の80個の格子点における,設定値と補正値の3次元的距離は,平均60μmまで低減することができた。
    本システムを使用して,乳歯列期小児9名(男児3名,女児6名)の中心咬合位を始点とする側方滑走運動を測定し,下顎歯列上の5ケ所の解析点(下顎切歯点,左右下顎乳犬歯尖頭,左右下顎第2乳臼歯遠心頬側咬頭頂)について,その運動距離,角度を算出した。
    各々の運動を比較するために,切歯点部における移動距離が2mmと4mmになるよう,側方滑走運動を規格化した。その結果,最小運動部位は作業側第2乳臼歯部で,最大運動部位は平衡側乳犬歯部であり,前頭面投影角と矢状面投影角は,各解析点とも2mm移動点より4mm移動点の方が有意(危険率5%)に小さくなっており,滑走距離が増加するほど,下顎歯列はより水平的に動いていた。水平面投影角は,各解析点とも2つの規格化された運動の間に有意差は認められず,運動方向はほぼ一定していた。また,被験者ごとの左右の側方滑走運動は,統計学的に非常に対称的に行なわれていることが明らかとなった。
    本研究で対象とした乳歯列期小児の側方滑走運動は,成人の報告と比較し,側方への動きが小さくやや前方よりに運動しており,また下方への動きが少なく水平的に運動しているものと考えられた。
  • 柴崎 貞二
    1989 年 27 巻 2 号 p. 415-426
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    高校生16名(男子7名,女子9名)における食事調査を行い,栄養・食習慣と歯肉炎の程度,歯石沈着状態および歯垢付着状態との間の関連性について検討し,以下の如き結果を得た。
    1)栄養素等の摂取状態についてみると,カルシウム,鉄,野菜の摂取不足が男女ともに共通しており, 男子においてはさらにビタミンA , ビタミンB 2 も不足していた。
    2)食習慣のひとつとして食事の規則性についてみると,男子は女子に比べて食事回数,間食回数,食事の時間帯に不良傾向が認められた。
    3)歯肉炎の程度,歯石沈着状態および歯垢付着状態は,女子に比べて男子において不良てあった。これらの一因として男子における栄養・食習慣の不良傾向が示唆された。
    4)食生活状態を栄養・食習慣の良否から良好群,不良群,境界群の3群に分けて検討した結果,良好群の歯肉炎の程度と歯石沈着状態は,不良群に比較して有意差をもって軽度であった。
    5)歯肉炎の重症度とビタミンB2,淡色野菜および脂肪の充足率との間には,有意な負の相関関係が認められた。
  • 菊地 賢司, 三木 真弓, 宮本 幸子, 有田 憲司, 西野 瑞穂
    1989 年 27 巻 2 号 p. 427-435
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    咀嚼の生理的意義について,検討をすすめるうえで,今回は,咀嚼が唾液腺の発達に及ぼす影響について検討した。実験は,離乳直後の雄マウスを,同一成分の固形食あるいは練食で飼育し,その両群で,耳下腺,顎下腺および舌下腺の発達を比較した。
    その結果,練食群では,とくに耳下腺および顎下腺の,離乳後の重量増加が低下すること,DNAとRNA含有量の増加が低下することが示された。また,耳下腺の組織中アミラーゼ活性も低い値を示した。
    次に,耳下腺および顎下腺のポリアミン代謝についても比較を行ったところ,ポリアミン合成の律速酵素であるオルニチン脱炭酸酵素(ODC)とS-アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)の活性が,練食群では低い値を示し,また,主要なポリアミンのうちプトレッシンとスペルミジンレベルが低い値を示す傾向が認められた。
    これらの結果は,咀嚼が,耳下腺および顎下腺の細胞増殖や分化に重要な影響を及ぼすことを示唆している。
  • 角川 進次郎, 高木 みどり, 下岡 正八
    1989 年 27 巻 2 号 p. 436-456
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の乳前歯部欠損と乳臼歯部欠損の欠損部位による発音の相違について検討するため,比較的咬合状態の良い小児と比べ,以下のような結論を得た。
    1.母音ホルマントの出現周波数域は,臼歯部欠損児のほうが前歯部欠損児よりも,比較的咬合状熊の良い小児と比べた場合に,相違が多く認められた。
    2.母音のホルマント別では,前歯部欠損ではi,臼歯部欠損ではiとeに相違が多くみられた。
    3.各ホルマント別にみると,第1と第3に相違が多くみられ,第2は比較的相違が少なかった。
    4.各周波数領域における成分の強さについては前歯部欠損および臼歯部欠損ともに,母音よりも子音発音が影響を受けやすいことが認められた。
    5.母音発音においては,低周波数から中周波数域にかけて相違が多くみられた。
    6.前歯部欠損ではタ行が,臼歯部欠損では力行が改善される傾向にあるが,サ行発音は改善が困難であることが認められた。以上のことから,比較的咬合状態の良い小児と比べた場合,臼歯部欠損の場合のほうが前歯部欠損のときよりも相違が多くみられ,これは,臼歯部欠損で可撤保隙装置を作製する際,発音機能についても保隙や咀嚼機能と同様に考慮しなければならないことを示唆している。
  • 小関 敦子, 加納 能理子, 山田 恵子, 櫻井 聡, 大西 暢子, 真柳 秀昭, 神山 紀久男
    1989 年 27 巻 2 号 p. 457-466
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和5 6 年4 月より昭和6 1 年3 月までの過去5 年間に東北大学歯学部附属病院に来院し,小児歯科の咬合管理ルートにのった患児895名(男児421名,女児474名)を対象に,初診時問診表をもとにして来院前および来院時の生活環境並びに口腔内環境についてその実態を調査し,さらに当教室で約10年前に今回とほぼ同様の方法で行なった調査結果と比較検討した。
    1)哺乳法については母乳群の増加,人工乳群の減少が見られたが,離乳開始時期は前回の調査とほぼ同様で3-6カ月に集中していた。
    2)就寝時飲食の既往はかなり減少していた。
    3)間食は1日2回,決った場所で大体決った時間に与えられているものが多く,内容としては果物,お煎餅,ポテトチップス,牛乳が多かった。回数,内容に関しては前回の調査とほぼ同様の結果を示した。
    4)刷掃は1日2回以上磨くものが増加し,朝食後と就寝前が平均的なパターンと思われた。
    5)むし歯を病気と思う者の割合は約87%,思わない者は8.9%であった。
    6)家庭での齲蝕予防法としては,歯磨きの徹底と間食の摂り方への注意が圧倒的に多かった。
    7)歯磨きと間食の摂り方における関心度の相違によって,実際のそれらの内容に若干の違いが見られた。
    8)以上,ほぼ全ての項目から母親の関心度の高まっていることが分った。
  • 加納 能理子, 小関 敦子, 山田 恵子, 櫻井 聡, 大西 暢子, 真柳 秀昭, 神山 紀久男
    1989 年 27 巻 2 号 p. 467-474
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和56年4月から昭和61年3月までの5年間に東北大学歯学部附属病院小児歯科外来を訪れた患者877名の初診時口腔内所見と問診表から,実態調査を行い前回(昭和46年から昭和51年)の調査と比較したところ,
    1)1人平均dftは,どの年齢群においても減少の傾向がみられた。
    2)乳児期の栄養方法,離乳開始時期,就寝時の飲食の有無と齲蝕との関係については,人工乳群,離乳開始時期が6カ月以降の群および就寝時の飲食がある群で,dftが有意に高かった。
    3)間食習慣と齲蝕との関係については,2歳から5歳で間食の回数が増加するにつれてdftが高くなった。間食の時間を決めていない群,遊びながら間食をとる群は,dftが有意に高かった。
    4)刷掃回数とdftとの間には一定の関係が認められなかった。以上より,生活習慣の中で乳歯齲蝕に影響を及ぼす要因として,就寝時の甘味飲料摂取の有無,間食習慣の適否が挙げられることが明らかとなった。
  • 真柳 秀昭, 門馬 祐子, 畑 弘子, 大西 暢子, 神山 紀久男, 千葉 俊一, 竹村 衿子
    1989 年 27 巻 2 号 p. 475-486
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    東北大学歯学部付属病院小児歯科外来に通院中の小児患者121名ならびに小児歯科専門の開業医診療室に通院中の小児患者53名について,低粘度接着性コンポジットレジンClearfil SC-IIで修復を行い,最短1カ月,最長33カ月経過した451窩洞につき,臨床的観察を行った結果,以下のような知見を得た。
    1)大学の資料では,経過良好例74.1%,新生齲蝕発生例4.7%,不快事項の経過観察例12.2%,不快事項の再処置例9.0%であった。一方,開業医の資料では,経過良好例70.4%,新生齲蝕発生例15.7%,不快事項の経過観察例5.6%,不快事項の再処置例8.3%であった。
    2)乳前歯部における不快事項の発現率は,大学の資料で39.7%,開業医の資料で8.3%であり,乳臼歯部における不快事項の発現率は,大学の資料で16.9%,開業医の資料で17.7%であった。
    3)大学の資料ではIII級窩洞(45.9%)とIV級窩洞(30.0%)に不快事項の発現が多く,開業医の資料ではII級窩洞(23.5%)に多かった。
    4)不快事項の中で発現頻度の高かったものは,辺縁の褐線・間隙および二次齲蝕であり,その他では,充填物体部の気泡および摩耗,歯質の摩耗によるレジンとの段差などがこれに続いた。
    5)褐線・間隙ならびに二次齲蝕はII級窩洞とIII級窩洞に多く,充填物の摩耗および気泡はII級窩洞に,脱落はIII級窩洞に多く発現した。
  • 新井 桂, 加藤 尚之, 青木 喜恵, 三浦 真理, 小口 春久
    1989 年 27 巻 2 号 p. 487-493
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯の歯根吸収に関する生化学的研究は従来より報告されているが,好気的酸素代謝の観点からの研究はほとんど行われていない。我々は乳歯歯根吸収組織中の酸素代謝を調べる目的でウシ乳歯歯根吸収組織を用い,組織中のCu-Zn-Superoxlde dismutase(SOD),Mn-SOD, Lactate dehydrogenase (LDH) の酵素活性と過酸化脂質濃度を調べた.その結果,細胞質に存在するCu-Zn-SODの比活性は実験に供した2頭のウシで乳歯の歯根吸収の程度にかかわらず対照との差は認められなかった。これに対してミトコンドリアに存在するMn-SODでは歯根吸収が肉眼的に明らかな場合,その吸収程度にかかわらず比活性は著明に上昇していた。LDHは何れの吸収組織においても対照との差を認めなかった。また, 過酸化脂質濃度はM n - S O D と同様に, 肉眼的に吸収の認められた場合,その程度にかかわらず著明に増加している事が明らかになった。
    以上の結果から,肉眼的に歯根吸収を認める吸収組織中ではミトコンドリア中のMn-SODの活性が明らかに上昇しており,好気的酸素代謝の亢進が示唆された。さらに過酸化脂質濃度の増加が認められるので,スーパーオキシドアニオンをはじめ多量の活性酸素が生じているものと推測された。
  • 朝倉 恒夫
    1989 年 27 巻 2 号 p. 494-512
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は筋電図の不規則波形を高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)し,周波数成分とそのパワーを同時に解析することにより乳歯列期から混合歯列期を経て永久歯列期まで,歯列の成長変化により咀嚼筋筋電図における筋活動量がいかに変化するかを検討する目的で,被検者を歯列の成長により乳歯列期,混合歯列期前期,混合歯列期後期,永久歯列期の4群に分類し,総計140名についてタッピング,クレンチング,バイティングの各被検動作を行わせた。筋電図は側頭筋前腹及び咬筋より採取し,そのスペクトル波形について,周波数域,ピーク周波数,ピーク強度を計測し,比較検討を行った結果は以下のとおりである。
    1)周波数域については各群とも側頭筋のほうが咬筋に比べより広い周波数域を示し,また歯列の成長にともないその値は減少していた。
    2)ピーク周波数およびピーク強度についてクレンチングがもっとも大きく,続いてタッピング,パイティングの順であった。
    3)オートパワースペクトル波形を側頭筋,咬筋でその強度レベルを比較し,側頭筋が高い値を示した場合は側頭筋優位型,咬筋が高い値を示した場合には咬筋優位型とした場合,タッピング時,クレンチング時,最大咬合力発現時とも,咬筋優位型を示した者が歯列の成長変化にともない増加していた。
    4)クロススペクトル波形の比較ではすべての被検運動について各群とも基本波に対して広い範囲で側頭筋および咬筋の調和が見られ,高周波数域まで高い強度が持続することが示され,さらに歯列の成長とともに強度が次第に増大することが認められた。
  • 深尾 正, 柳田 絵理子, 船越 禧征, 下田 豊, 川村 広, 稗田 豊治
    1989 年 27 巻 2 号 p. 513-521
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ehlers-Danlos症候群(E-D症候群と略)は,皮膚の過伸展性,関節の過可動性,皮下出血などを主症状とする遺伝性結合織性疾患である。今回,私たちは,第III型と思われるE-D症候群の1例を経験した。そして,全身的所見および歯科的所見について検討した結果,次のような結論を得た。
    1)E-D症候群の3徴候のほか外斜視,耳介低位,右大胸筋欠損,右重複栂指,股間節脱臼,右鼠径ヘルニア,右停留睾丸および外反扁平台の合併症を認めた。
    2)病理組織検査の結果,膠原線維および弾性線維の形成異常を認めた。
    3)咬合状態は,切端咬合で,口蓋は高口蓋を呈し,上下歯列弓とも狭窄を示した。
    4)歯冠近遠心幅径,歯列弓長径および幅径のいずれも平均値より低値を示した。
    5)オルソパントモ型およびデンタル型エックス線写真から,乳歯ならびに永久歯胚の石灰化遅延傾向および根管の狭窄を認めた。
  • 山崎 桂子, 広田 和子, 山崎 要一, 野中 和明, 中田 稔
    1989 年 27 巻 2 号 p. 522-528
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和56年4月1日から昭和61年3月31日までの5年間に,当科を受診した患児2754人(男児1352人,女児1402人)のうち,咬合を主訴として来院した患児,及び,診査により咬合の異常を認めた患児についての実態調査を行ない,以下の結果を得た。
    1.咬合のみを主訴として来院した患児が14.5%,主訴の中に咬合の問題も含む患児が8.1%であった。咬合に主訴のある患児の男女比は,男児43.0%,女児57.0%であった。
    2.咬合に主訴のある患児は,3歳と6-7歳にピークがあった。
    3.初診時の診査によって,咬合異常を認めた患児は28.5%であった。内訳は,反対咬合32.5%,切端咬合14.1%,交叉咬合13.0%,叢生11.8%等であった。
    4.反対咬合の歯列別内訳は,乳歯列59.9%,混合歯列39.3%,永久歯列0.8%であった。
    5.乳歯列反対咬合の男女比は,男児45.6%,女児54.4%であった。
    6.乳歯列反対咬合の咬合誘導は,3歳から5歳にかけて始められていた。
    7.乳歯列反対咬合の治療に使用された装置は,上顎前方牽引装置25.0%,チンキャップ20.0%,FKO 17.5%,弾線付リンガルアーチ15.0%等であった。
    8.乳歯列反対咬合患児160人の昭和61年8月現在の転帰は,観察中36.2%,咬合誘導中あるいは処置終了後の経過観察中24.4%等であった。
  • 名方 俊介, 清水 賢二, 山口 和子
    1989 年 27 巻 2 号 p. 529-536
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯の形成,萌出期の何らかの原因により,それぞれの歯が互いにその位置を交換して萌出している移転歯,即ち位置交換歯を伴う症例に遭遇することがある。これらの歯牙を配列するにあたって,位置の入れ替わったままの状態で配列するか,あるいは互いにその位置を入れ換えて配列するかを選択する必要がある。
    そこで,移転歯の位置の交換した状態のまま配列した症例と,その位置を互いに入れ換えて配列した症例の治療経過を報告し,それらの症例を通じて以下の考察を加えた。
    1.今回報告した症例の歯の移転の原因は,それぞれ先行乳歯の早期喪失,および永久歯歯胚の位置異常と推定した。
    2.移転歯を伴う症例の治療方針を決定する場合,その移転の状態が完全型か不完全型か,根尖の位置と歯軸の傾斜の程度が判断基準となる。
    3.移転歯を入れ換えて配列する症例においては,配列後の歯軸の平行性が,安定した術後経過を得るために極めて重要である。一方,移転した状態のまま配列する症例では,歯牙の早期接触を防がなければならない。そのため,上下顎の対咬関係,捻転や傾斜などの個々の歯の不正に対する歯牙移動および保定に注意を払う必要がある。
  • 中島 正人, 信家 弘士, 三宅 雄次郎, 長坂 信夫
    1989 年 27 巻 2 号 p. 537-545
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本学附属病院小児歯科外来において, F C 系剤による歯髄切断処置をおこたった乳歯のうち,無作為に抽出した125歯(男子46名,女子24名,計70名)に対し,X線学的にてその経過を観察し,検討をおこなった。
    その結果は,以下の通りであった。
    1.最終観察時に経過良好と判定されたのは50歯(40.0%)で,経過不良と判定されたのは75歯(60.0%)であった。観察期間別にみると施術後6カ月以上12カ月未満および30カ月以上36カ月未満において経過不良を多く認めた。
    2.本調査では,歯髄切断処置後に撮影されたデンタルX線写真をすべて読影。精査し,その都度経過を判定したため,経過観察症例数は247例となった。その経過観察時の成績では,施術後30カ月以上36カ月未満において特に経過不良例が多かった。
    3.歯種別および施術時年齢別の成績では,ほとんどの症例において施術後18カ月までに不良が発現しており,歯種間では下顎第1乳臼歯に不良の発現率が高かった。また,施術時年齢別では6歳において経過良好の発現率が高かった。
    4.本調査における不良例75歯について,不良と判定された際の異常所見は,内部吸収24歯,歯根の異常吸収24歯,白線の消失51歯,根尖部または根分岐部歯槽骨の吸収53歯であった。
  • 金原 奈々子, 中倉 邦子, 富沢 美恵子, 野田 忠
    1989 年 27 巻 2 号 p. 546-555
    発行日: 1989/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来では,昭和54年9月から平成元年1月までの9年間に,病理組織学的に歯牙腫と診断されたもの16例を経験した。著者らはこれら16例について,予後調査も含めて臨床的観察を行った。
    1.患児の年齢は,1歳2カ月-13歳3カ月であり,性別では男児12例,女児4例であった。
    2.病理組織学的には,集合型12例,複雑型2例,中間型1例,エナメル上皮線維歯牙腫が1例であった。
    3.発生部位は,上顎9例,下顎7例で,集合型では上顎切歯,犬歯部に多く,複雑型も上顎切歯部にみられた。
    4.発見のきっかけ,および歯への影響は,近接歯の萌出遅延が最も多かった。
    5.小児の歯牙腫には石灰化の程度が低く,大きさも小さく,X線写真で見落としたり,診断がつけにくいものもある。6.歯牙腫の早期発見,適時摘出により,萌出遅延歯は,自然萌出あるいは誘導萌出が期待できる。
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