1989 年 27 巻 2 号 p. 324-331
この研究の目的は,Fuji Computed Radiography (FCR)を使用し,思春期の顎関節症患者を有する38名の顎関節内を検討することにある。
得られた結果は,つぎのようであった:
1)顎関節症症状を有する群における下顎窩にたいする下顎頭の位置において,後方位の発現頻度が,顎関節症症状を持たない群よりも高いことが示された。そして,中央位が,治療により改善される位置として好ましいことが示唆された。
2)顎関節症症状を有する群の下顎頭における形態的異常が明らかにされた発現の頻度は,顎関節症症状を持たない群よりも高かった。
3)顎関節円板の異常は,顎関節症症状と関連し,特に,雑音と疼痛は,顎関節円板の異常と明らかに関連していた。
4)思春期における顎関節症患者の顎関節の器質的異常な変化が,示された。