小児歯科学雑誌
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Ehlers-Danlos 症候群の1例
深尾 正柳田 絵理子船越 禧征下田 豊川村 広稗田 豊治
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1989 年 27 巻 2 号 p. 513-521

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抄録
Ehlers-Danlos症候群(E-D症候群と略)は,皮膚の過伸展性,関節の過可動性,皮下出血などを主症状とする遺伝性結合織性疾患である。今回,私たちは,第III型と思われるE-D症候群の1例を経験した。そして,全身的所見および歯科的所見について検討した結果,次のような結論を得た。
1)E-D症候群の3徴候のほか外斜視,耳介低位,右大胸筋欠損,右重複栂指,股間節脱臼,右鼠径ヘルニア,右停留睾丸および外反扁平台の合併症を認めた。
2)病理組織検査の結果,膠原線維および弾性線維の形成異常を認めた。
3)咬合状態は,切端咬合で,口蓋は高口蓋を呈し,上下歯列弓とも狭窄を示した。
4)歯冠近遠心幅径,歯列弓長径および幅径のいずれも平均値より低値を示した。
5)オルソパントモ型およびデンタル型エックス線写真から,乳歯ならびに永久歯胚の石灰化遅延傾向および根管の狭窄を認めた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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