小児歯科学雑誌
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当科における咬合に異常が見られた患児の実態調査
-特に乳歯列反対咬合症例について-
山崎 桂子広田 和子山崎 要一野中 和明中田 稔
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1989 年 27 巻 2 号 p. 522-528

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抄録

昭和56年4月1日から昭和61年3月31日までの5年間に,当科を受診した患児2754人(男児1352人,女児1402人)のうち,咬合を主訴として来院した患児,及び,診査により咬合の異常を認めた患児についての実態調査を行ない,以下の結果を得た。
1.咬合のみを主訴として来院した患児が14.5%,主訴の中に咬合の問題も含む患児が8.1%であった。咬合に主訴のある患児の男女比は,男児43.0%,女児57.0%であった。
2.咬合に主訴のある患児は,3歳と6-7歳にピークがあった。
3.初診時の診査によって,咬合異常を認めた患児は28.5%であった。内訳は,反対咬合32.5%,切端咬合14.1%,交叉咬合13.0%,叢生11.8%等であった。
4.反対咬合の歯列別内訳は,乳歯列59.9%,混合歯列39.3%,永久歯列0.8%であった。
5.乳歯列反対咬合の男女比は,男児45.6%,女児54.4%であった。
6.乳歯列反対咬合の咬合誘導は,3歳から5歳にかけて始められていた。
7.乳歯列反対咬合の治療に使用された装置は,上顎前方牽引装置25.0%,チンキャップ20.0%,FKO 17.5%,弾線付リンガルアーチ15.0%等であった。
8.乳歯列反対咬合患児160人の昭和61年8月現在の転帰は,観察中36.2%,咬合誘導中あるいは処置終了後の経過観察中24.4%等であった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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