小児歯科学雑誌
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咀嚼および顎下腺摘出が種々の臓器の増殖能に及ぼす影響について
菊地 賢司三木 真弓宮本 幸子有田 憲司西野 瑞穂
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1989 年 27 巻 4 号 p. 945-951

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抄録
咀嚼の低下によっておこる顎下腺の発達の低下が,他の臓器の増殖に及ぼす影響について検討した。離乳直後の雄マウスを固形食で飼育した群,固形食と同一成分の練食で飼育した群,および顎下腺の影響をより明確にするために固形食で飼育し顎下腺を摘出した群の3群を用いて,耳下腺の特異的増殖促進剤であるイソプロテレノール(IPR)による増殖刺激時の耳下腺のポリアミン合成とDNA合成について比較を行った。また,その他の臓器のDNA合成についても検討した。
その結果,IPRによるマウス耳下腺のオルニチン脱炭酸酵素(ODC)活性,S-アデノシルメチオニン脱炭酸酵素(SAMDC)活性の上昇およびDNA合成の促進は,固形食群に比べ,練食群でやや低下し,顎下腺摘出群ではさらに有意に低下することが認められた。また,顎下腺摘出群で,肝臓, 胃,肺,精巣では,DNA合成に差はみられなかったが,心臓のDNA合成の低下が認められた。
これらの結果から,顎下腺がその他の臓器の増殖に関与することが示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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