小児歯科学雑誌
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日帰り手術棟を利用した歯科外来麻酔について
船越 禧征池本 博之蕭 思郁深尾 正平木 ますみ稗田 豊治
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1990 年 28 巻 1 号 p. 180-185

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抄録

兵庫県立こども病院歯科において日帰り手術棟を利用して,1985年4月から1989年3月までの4年間に99人の歯科外来麻酔を行ったが,重大な合併症はなかった.歯科処置の内容は一般歯科処置77人,埋伏過剰歯抜歯10人,粘液嚢胞摘出術7人,舌小帯延長術3人,上唇小帯切除術2人であった.外来麻酔を行った理由は精神障害児58人,口腔外科手術のため全身麻酔を必要とした22人,低年齢児のため歯科治療に非協力な19人であった.年齢は乳歯列期53人,混合歯列期39人,永久歯列期7人であった.外来麻酔は母子分離による患児と家族のストレスの減少,入院による院内交叉感染がないなどの利点がある.外来麻酔を行う際には術者の便利さのために選択するのではなく,本方法を用いることが患児の精神的,身体的負担を軽減し歯科治療が無理なく,しかも安全に行いうる場合のみ実施するようにしなければならない.外来麻酔が安全にして,円滑に運ぶためには病院のもつあらゆる機能を最大限にいかし,同時に院内各科(麻酔科,放射線科,小児科,臨床検査科など)の協力が必要最低限の条件である.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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