小児歯科学雑誌
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切削エナメル質に対するレジンの接着性
切削深さとエッチング時間の影響(II)
細矢 由美子中村 則子有冨 匡子品川 浩実後藤 讓治
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1990 年 28 巻 1 号 p. 26-39

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抄録

牛幼若永久歯切削エナメル質に対するレジンの接着性について,切削深さとエッチング時間の影響を観察した.
37%正燐酸ゼリーで,0,10,20,30及び60秒間エッチングを行った.レジンは,3M社製Dual Cured Scotch BondとSiluxを使用した.同一歯牙のエナメル質表層と深層の両者について勇断接着試験を行い,接着強さを測定した.また,勇断接着試験後の資料をSEMで観察した.得られた結果をPhoto Bond併用時におけるPhoto Clearfil Aの結果と比較した.
1)接着強さが最も高かったのは,エナメル質表層並びに深層共に,エッチング時間が60秒の場合であった.
2)同じエッチング時間における表層と深層間の接着強さに有意差はみられなかった.
3)表層並びに深層共に,すべてのエッチング時間群間とエッチングなし群間の接着強さに有意差がみられ,エッチング群が高く,60秒と20秒及び30秒群間の接着強さに有意差がみられ,60秒の場合が高かった.深層のみについて,10秒と20秒群間にも有意差がみられ,10秒の場合が高かった.
4)エナメル質にレジンが広範囲に残存接着していた症例で,高い接着強さを示す傾向がみられた.
5)SiluxとPhoto Clearfil A間の接着強さは,表層と深層の両者で,10秒と60秒についてはSiluxが有意に高く,エッチングなしの場合は,Photo Clearfil Aが有意に高かった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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