小児歯科学雑誌
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フッ化ジアンミン銀の歯髄に対する実験病理学的研究
第1報 象牙質に塗布した場合
細矢 由美子有冨 匡子城臺 維子品川 浩実後藤 讓治
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1990 年 28 巻 1 号 p. 75-89

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抄録
フッ化ジアンミン銀の歯髄反応について観察する事を目的に研究を行った.成犬歯牙103歯に対し,エアータービンに装着したカーバイトバーで注水下に象牙質窩洞を形成後,38%フッ化ジアンミン銀(サホライド)を塗布した群を実験群,窩洞に何も塗布しない群をコントロール群とした.両群共に,窩洞には何ら充填処置を行わず,窩洞を開放状態で放置した.実験日数は,3日,7日及び30日とした.
歯牙を中性フォルマリン液で固定後脱灰し,ツェロイジンで包埋後,通法に従って薄切し,連続切片標本としてヘマトキシリン・エオジン複染色を施し,顕微鏡下に観察した.
その結果,
1)実験群並びにコントロール群共に,歯髄固有細胞及び造歯細胞に種々な病理所見が観察された.
2)いずれの実験日数においても,実験群とコントロール群間の病理成績に,統計学的有意差はみられなかった.
3)フッ化ジアンミン銀中の銀粒子の象牙細管及び歯髄中への侵入程度と病理所見及び病理成績との間には,関連性は認められなかった.4)38%フッ化ジアンミン銀は,歯髄に対し何ら保護的効果を示さなかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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