小児歯科学雑誌
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コンポジットレジンインレーの乳臼歯への応用
レジンアンレ-の臨床成績
山本 弘敏井寄 宏高嘉ノ海 龍三矢尾 和彦稗田 豊治
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1990 年 28 巻 3 号 p. 725-731

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抄録

最近,乳歯の歯冠修復にも審美性が求められるようになった.しかしながら乳臼歯のコンポジットレジン修復では,窩洞が大きくなるにつれてレジンの摩耗や破折あるいは歯質の破損などが生じ易くなる.また乳歯用冠は,審美的でないことの他に咬耗による穿孔や歯頸部での適合不良などに起因する問題が指摘されている.
そこで,これらの方法に代わる修復方法としてコンポジットレジンインレー用のレジンを用い,歯髄処置を施した50歯の乳臼歯に咬合面全体を被覆するアンレー修復を施して6カ月間の臨床経過を観察した.また,第一乳臼歯で7段階第二乳臼歯では上顎が9段階,下顎が10段階の大きさのオクルーザルシェルを試作して技工工程の簡略化を計った.結果は以下の通りである.
1)不快事項としては,咬頭部での部分的な破折が5例(10%)発現した.
2)グレージング剤によるアンレー表面の光沢は,6ヵ月後には消失していた.
3)対咬歯を乳歯用冠で修復した場合は,修復後3~4ヵ月後に乳歯用冠に穿孔が認められた.
4)咬合面全体を被覆するアンレーは,歯質の削除量が多くなるために抜髄や生活歯髄切断を施した歯が適応症例である.
5)オクルーザルシェルを利用することによって咬合面形態の付与は,非常に簡便になり,技工時間を大幅に短縮することができた.以上の結果からレジンアンレーは歯髄処置をした乳臼歯の修復方法として乳歯用冠や充填修復法に代わる有効な手段であると考えられる.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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