小児歯科学雑誌
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小児の口腔内小手術における血圧の変動
佐藤 輝子向井田 珠美阿部 英一野坂 久美子甘利 英一
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キーワード: 小児, 口腔内小手術, 血圧
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1990 年 28 巻 3 号 p. 761-769

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抄録

口腔内小手術時の侵襲が,小児の生体に及ぼす影響を解明する目的で,今回,脈波・コロトコフ音記録計GP-303S型(日本パラマ社製)を用いて,小手術時の血圧と脈拍の変動を調査した.対象は,岩手医科大学小児歯科外来で小手術を行った男子15名,女子13名,計28名である.
また,そのうち16名に対しては,体型と性格の調査も行い,術中の血圧との関連性についても検索した.その結果,次のような結論を得た.
1.最高血圧は,埋伏過剰歯摘出(以後過剰歯摘出術と略す)時に最高値を示し,とくに男子で著しかったが,脈拍は,浸潤麻酔(浸麻),切開・剥離時に最高値を示し,男女差は認められなかった.
2.最高血圧の術中の変動は,男子が女子より激しく,過剰歯摘出術でそれが明らかであった.
3.最高血圧,脈拍は,ともに,処置が進行するに従い大きくなり,術後には術前に近い値まで回復したが,過剰歯摘出術,開窓療法において,その回復力は男子の方が女子に比べて劣っていた.
4.今回の小手術における血圧,脈拍の変動は,小手術に対する不安,恐怖あるいは疹痛などの精神的動揺およびストレスが,最大の原因と思われた.
5.術中の血圧の変動と患児の体型や,性格との間に何らかの関連性が見出された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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