小児歯科学雑誌
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新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来における歯科小手術の臨床統計的観察
1979年から1989年
茂泉 久美松山 順子富沢 美惠子野田 忠
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キーワード: 歯科小手術, 小児, 臨床統計
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1990 年 28 巻 3 号 p. 770-778

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抄録

昭和54年9月から平成元年8月までの10年間に,新潟大学歯学部小児歯科外来で行われた歯科小手術症例について,臨床統計的観察を行った.
1.小手術症例数は,656例(男児384例,女児272例)で,手術時年齢は6歳,7歳,8歳が多かった.年間症例数は平均65.4例で,月別症例数では8月が多かった.
2.疾患別では,埋伏歯(62.8%),小帯異常(22.8%)で,合わせて85%を越えていた.
3.性別では,埋伏過剰歯,頬小帯異常,歯牙腫は男児に,上唇小帯異常,粘液嚢胞は女児に多く,埋伏永久歯,舌癒着症ではほとんど性差を認めなかった.
4.小手術症例の約4割は他の医療機関からの紹介患者であった.
5.手術内容では,埋伏永久歯は開窓が多く,唾液腺疾患では摘出が多く,良性腫瘍では摘出,軟組織疾患では切除,顎骨嚢胞では全て開窓を行った.
6.手術時年齢は,4歳未満では小帯異常が多く,4~8歳では埋伏歯が増加し,唾液腺疾患,軟組織疾患は10歳未満に,良性腫瘍,顎骨嚢胞は7歳以降に多く行われた.
7.小手術を行った小児で全身疾患を有したのは31名で精神神経系疾患が最も多かった.
8.全身麻酔は,16例中14例舌小帯伸展術が占め,手術年齢は1~6歳の範囲にあった.
9.術後合併症は,後出血3例,発熱2例,抗生物質による薬疹が2例認められた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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