小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
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歯科恐怖の予防に関する行動科学的研究
日本・インドネシア・ブラジル・アルゼンチン4カ国における実態について
壺内 智郎大村 満晴大町 耕市内田 尚Marcela Fumiyo TaguchiHeriandi SutadiSandra Adriana Ogura松村 誠士下野 勉
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1990 年 28 巻 4 号 p. 1014-1024

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抄録
我々は,歯科恐怖予防の観点から行動科学的研究を行っているが,今回,著者らは歯科不安・恐怖の実態を把握し解明する目的で,日本,インドネシア,ブラジル,アルゼンチンの4力国で歯科不安に関するアンケート調査を実施した.対象は各国の歯科学生計728人,アンケートは全25問よりなる選択式で,その内容は大きく分けて3群からなっている.第1群は主訴・治療経験などを問う予備設問,第2群は歯科診療時の身体反応を問う設問群,第3群は歯科診療時の不安度を問う設問群である.これらの回答を集計・分析し以下の結果を得た.
1.日本の対象者の77%は何らかの歯科不安を抱いており,他国(45~65%)に比べ高い割合を示した.しかし,強度の不安を抱いているものは各国とも,4~7%とほぼ同じ割合を示した.
2.日本・ブラジルでは女性の方が歯科不安が強く,アルゼンチン・インドネシアでは逆に男性の方が歯科不安が強い傾向を示した.
3.歯科診療時の身体反応と不安度との間に各国の被験者とも有意な関係を認めた.
4.どの国においても歯科不安の強いHigh fear groupは,特に治療前の心理的ストレス場面で不安度が増し,同時に身体反応も強く表出された.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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