小児歯科学雑誌
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フッ素徐放性レジンのエナメル質に及ぼす影響に関する実験的研究
小児義歯への応用について
小出 武深尾 正櫛田 雄一矢尾 和彦稗田 豊治
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1990 年 28 巻 4 号 p. 968-974

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抄録

小児義歯あるいは矯正用床装置と接触するエナメル質に齲蝕による白斑あるいは実質欠損を広範囲に認めることがある.このような齲蝕を予防するために床装置の歯牙接触面にフッ素徐放性レジンを応用すれば,耐久性,適合性などで優れており,さらにフッ素も安定して放出されることから,強い齲蝕抑制効果を発揮するものと考えられる.
今回,クラレ社で研究開発中の光重合型フッ素徐放性のレジンを床装置の歯牙接触面に応用することを想定して,ウシエナメル質と同レジンを接触させ,同レジンから放出されたフッ素のエナメル質への取り込みについて検討し,以下の結果を得た.
1)実験期間中フッ素徐放性レジンから放出されるフッ素量は,ほぼ一定で,安定していた.
2)エナメル質に取り込まれたフッ素量はエナメル質の表層部で多く,深部でも認められた.
3)浸漬期間の延長に伴い,エナメル質に取り込まれたフッ素量は増加した.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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