小児歯科学雑誌
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乳歯齲蝕のX線学的検討
第1報 FC法適応症について
小野 美紀子前田 隆秀谷 博司栗原 洋一
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1991 年 29 巻 1 号 p. 154-158

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抄録

乳歯のFormocresol による生活歯髄切断法(FC法)の予後は,臨床的には極めて良好であるが,X線的評価では著しく低下するとされている.これは,小児においてはFC法の適応症と診断する情報が得にくいことによると思われる.栗原は歯根安定期のX線写真による乳歯FC法適応症の判定基準について報告を行った.
今回著者らは,被検歯を歯根安定期から歯根吸収期に拡大し,下顎乳臼歯26歯を被検歯とし,また,対照として,歯槽白線を一部消失している下顎乳臼歯4歯を用いFC法を行い,術前と術後6カ月の臨床的,X線学的観察を行った.その結果
1)被検歯とした下顎乳臼歯26歯の術後X線学的観察では,80%が良好であった.
2)対照とした下顎乳臼歯4歯はX線学的観察では全て不良であった.
3)術前のX線学的判定基準の中では,歯槽白線の所見が術後の良否に重要であった.
4)歯根吸収期の乳歯のFC法施術歯の予後の観察は歯根安定期の施術歯より一層慎重でなければならないことが示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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