小児歯科学雑誌
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軟骨無形成症の1例
篠原 稔船越 禧征高石 佳知稗田 豊治
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1991 年 29 巻 1 号 p. 159-166

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抄録
軟骨無形成症は四肢短縮型の小人症を主症状とし,著明な顔面,頭蓋の成長障害を伴う疾患で,主に家族性,遺伝性にみられる.本疾患の名称は長い間,胎児性軟骨異栄養症と呼ばれていたが,Parrotがクル病およびその他の低身長疾患から分離して軟骨無形成症として初めて報告し,それ以後この名称が広く用いられている.
本症はこれまで整形外科,内分泌領域からの報告は散見されるが,歯科領域からのものはほとんどみられない.今回,私たちは軟骨無形成症と診断された女児を観察し,以下の所見を得た.
1)咬合状態は,前歯部に開咬がみられた.
2)口蓋についての異常はみられなかった.
3)歯の形態や数および歯の成長については異常は認めなかった.
4)舌にやや肥大傾向がみられた.
5)側方頭部X線規格写真による角度分析,および距離分析の結果,頭蓋底の成長阻害が認められ,相対的下顎前突を呈していた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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