小児歯科学雑誌
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コンポジットレジンの残留モノマーに関する研究(第1報)
空田 安博加来 昭典周 適宏高江州 旭矢野目 鎮照木村 光孝
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1991 年 29 巻 2 号 p. 299-307

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抄録

重合したコンポジットレジンから溶出した残留モノマーを定性,定量した研究は多数あるが,コンポジットレジン中の残留モノマーを直接定性,定量した研究は少ない.そこで我々は,市販用の光重合型と化学重合型コンポジットレジンを用い,この歯髄為害性の原因の一つとして考えられているモノマー,特にBis-GMAとTri-EDMAについて残留モノマーを定性および定量し,各材料間で比較検討した.
1.各材料間ではBis-GMAはフォトクリアフィルブライトとクリアフィルフォトポステリアが6.5%と最も少なく,次いでP-50,パルフィークソフト,クリアフィルポステリアの順で多くなり,クリアフィルscが23.1%と最も多かった.また,Tri-EDMAはクリアフィルフォトポステリアが0.4%と最も少なく,次いでP-50,フォトクリアフィルブライト,クリアフィルSC,クリアフィルポステリアの順に多くなり,パルフィークソフトが20.0%と最も多かった.
2.化学重合型が光重合型に比較して残留モノマー率は高値を示した.
3.光重合型における光照射時間と重合深度については,光の照射時間が長くなればなるほど残留モノマーが少なくなり,また重合深度では深くなればなるほど残留モノマーが多くなった.
この残留モノマーの問題は,たとえ残留モノマーが表層ぼかりでなく深部に存在していたとしても何らかの原因によって表面にでてくる可能性がある.このようなことからコンポジットレジンの残留モノマーに関して,この重合体中の残留モノマー量を測定することから始めなければならないと考えられる.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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