小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
虚弱骨に対する高カルシウム食,生理活性物質の併用療法に関する走査電顕的研究
とくに下顎頭の変化
木村 光孝牧 憲司木村 京子太田 和子今村 隆子高江洲 旭秀島 治Raymond L. Braham
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 29 巻 3 号 p. 582-593

詳細
抄録
3週齢のWistar系雄ラットに虚弱骨を惹起させた後,高カルシウム(高Ca)飼料と生理活性物質(ECT)の併用療法を実施し,下顎頭に及ぼす影響を走査電顕的に検索し,次のような結論を得た.
1.軟骨層についてみると,Ca欠乏飼料群は対照群(標準飼料)に比べ,軟骨小腔は石灰化球が基質として癒合しているものの,軟骨小腔壁面では疎な部分が多く,軟骨小腔の各区画は不明瞭な所が増加していた.
Ca欠乏飼料・高Ca飼料群は軟骨層は薄くなり,ECT併用療法群では軟骨小腔の区画は明瞭な部分が増加し,軟骨小腔壁面も索状を呈した所が増加した.
2.骨梁を観察すると,
Ca欠乏飼料群は骨吸収像は増加し,骨細管の開口部はその輪郭が不明瞭な所が増加した.Ca欠乏飼料・高Ca飼料群に比べ,ECT併用療法群では骨小腔を囲む周囲の基質は一定方向に走行するコラーゲン原線維束の出現が増加した.また骨細管は軟骨小腔壁にも多数開口して認められた.
以上のことから虚弱骨に対する高Ca・ECT群の併用療法では軟骨層の成長および骨構築の促進所見が認められた.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top