小児歯科学雑誌
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歯周病原性細菌に対する血清抗体価と年齢および局在菌数との関連
Porphyromonas gingivalisおよびFusobacterium nucleatumについて
中川 さとみ藤居 弘通町田 幸雄中川 種昭山田 了奥田 克爾高添 一郎
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1992 年 30 巻 1 号 p. 123-134

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抄録

歯周病原性細菌の中から成人性歯周炎局所に高率に存在し,しかも血清抗体価の上昇が認められると報告されているPorphyromonas gingivalisおよびFusobacteriummucleatumについて血清抗体価と年齢,歯周局所の菌数および臨床所見との関連性について検索した。
本研究では被検者を幼児期,学童期,思春期,成人グループに分類した。それぞれのグループで歯齦炎群10名,正常群10名ずつ選択し,さらに成人性歯周炎患者10名についても観察を行った。被検者から歯齦縁下試料および血液を採取し,菌の同定とELISA法による抗体価の測定を行った。その結果,以下の結論を得た。
1)思春期歯齦炎群のP. gingivalisに対するIgG抗体価は成人歯齦炎群の値と有意な差が認められず,境界値を超える被検者の割合は幼児期および学童期歯齦炎群に比較し有意に多かったが,成人歯齦炎群や成人性歯周炎群とは有意な差が認められなかった。また,IgM抗体価においても思春期歯齦炎群はその前後の時期に比べ,有意に高く,境界値を超える被検者の割合もすべてのグループの中で一番多かった。これらのことから思春期はP. gingivalisの歯周局所への定着が生じ易くなる時期と考えられる。
2)F. nucleatumにおいて成人性歯周炎群のIgG抗体価は思春期および成人歯齦炎群と有意な差は認められなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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