小児歯科学雑誌
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咀嚼筋の発達に伴う筋電位伝導速度の変化
第2報 小児と成人の比較
真部 滋記田村 康夫美島 達平宋 政文
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1992 年 30 巻 1 号 p. 135-149

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抄録
小児の発達に伴う筋活動の変化を観察する目的で,筋電図から相互相関関数を応用した筋電位伝導速度(MFCV)について検討し,さらにFFT解析による筋活動のパワースペクトルについても併せて検討した。被検者は歯列の成長により,乳歯列期小児5名,混合歯列前期小児5名,混合歯列後期小児5名,永久歯列期成人20名(男性10名,女性10名)の4群に分類した。被検筋および被検運動として,肘関節を約90°に固定した時の上腕二頭筋および咬頭嵌合位における咬筋の等尺性収縮を指示し,電極は直列連動型電極を使用した。また成人10名を対象に,収縮強度の変化がMFCVおよびパワースペクトルに及ぼす影響についても検討を行い,以下の結論を得た。
1)MFCVは成人で性差は認められなかったものの,咬筋,上腕二頭筋とも収縮強度の増大に伴い上昇した。また群別で検討した場合,咬筋のMFCVは成人に比較し乳歯列期小児で小さい値を示した。
2)発達に伴いピーク周波数は低域にシフトする傾向を認め,一方ピーク強度,周波数域については増大および拡大する傾向を認めた。
3)被検筋間で比較すると,MFCVについては咬筋が上腕二頭筋に比べ大きい値を示し,ピーク周波数および周波数域についても咬筋が高周波域に位置していた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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