小児歯科学雑誌
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フッ素徐放性矯正用光重合型ボンディング材のエナメル質に及ぼす影響に関する研究
大下 智友美小出 武深尾 正山賀 まり子犬石 隆人稗田 豊治
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1992 年 30 巻 1 号 p. 115-122

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抄録

矯正治療において,ブラケット装着歯に齲蝕を認めることがある。このような齲蝕を予防するために,一定量のフッ素を徐放するとともに,ブラケット下の歯面とブラケット周囲の歯面に保護層を作るフッ素徐放性光重合型ボンディング材が米国において開発された。本研究では,このボンディング材(Ormco社,米国,FluoroBondTM)をブラケット装着時のボンディング材として使用し,本ボンディング材の有効性を検討するために,in vivoにてエナメル質のフッ素の取り込み量を測定するとともに,in vitroで同ボンディング材を作用させたエナメル質の耐酸性について検討し,以下の結果を得た。
1)フッ素徐放性光重合型ボンディング材を用いてエナメル質にブラケットを装着し,in vivoで作用させたところ,ボンディング材塗布部エナメル質の他に,その周囲エナメル質でもフッ素の取り込みが認められた。
2)同ボンディング材とエナメル質を接触させ,in vitroで作用させたところ,同エナメル質は強い耐酸性を獲得した。
3)同ボンディング材を用いてブラケットを装着し,in vitroで作用後,人工脱灰を行ったところ,ブラケット周囲エナメル質でも脱灰の抑制が認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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