小児歯科学雑誌
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Diphenylhydantoin性歯肉肥大症2症例による歯肉切除術導入判断についての検討
豊島 正三郎森主 宜延中山 清貴清水 久喜小椋 正
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1992 年 30 巻 1 号 p. 217-223

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抄録
Diphenylhydantoin性歯肉肥大症を有する障害児に対する歯科的治療方針の決定に関して,2症例をとおして検討した結果,以下の知見を得た。
1.症例1について,施設の歯科衛生士によるPlaque controlが可能と判断し,歯肉切除を行った。その結果,再発もなく,経過は良好で,摂食障害,舌運動障害,歯列不正も改善した。また,肥大の程度と歯列不正の改善の程度の関連について分析を行ったところ,肥大の程度の大きい程,改善の程度も大きいことが示された。
2.症例2について,施設の職員によるplaque controlが可能と判断し,歯肉切除を行った。その結果,経過は良好で,食欲不振,貧血傾向の改善にもつながった。
3.以上のことにより,Diphenylhydantoin性歯肉肥大症の治療方針の決定には再発防止のため,保護者および施設職員によるPlaquec ontrol遂行の可能性が最も重要であるが,今回は歯肉肥大の他に,全身的障害あるいは口腔機能の障害が大きく,これらの障害も治療方針決定にあたっての一つの考慮すべき因子となると思われた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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