1992 年 30 巻 4 号 p. 715-723
小児の歯磨きにおいては,基本的生活習慣の一項目としての歯磨き習慣の形成に加え,自分自身で確実な歯口清掃を行う能力が要求される。本研究では,日常生活における母親の小児の歯磨きへの関わり方の実態を把握し,母子を対象とした歯磨き指導の指標を確立することを目的として,1988年11~12月の2カ月間に,名古屋市とその近郊の1~6歳の保育所,幼稚園の園児の母親を対象に「小児の歯磨き習慣」に関する質問調査を行い,幼児期における歯磨き実施者の決定に関連する要因について検討を行い,以下の結果を得た。
1)年齢別の推移では,3歳児までは親が介助する割合が高くなっていたが,4歳児からは小児単独の割合が高くなっていた。
2)1~3歳児の「歯磨き実施者」と関連する要因は,「小児が歯磨きをしない時の母親の態度」,「歯磨きに対する小児の積極性」,「歯磨剤の使用状況」,「開始期の歯磨き実施者」の4項目であった。
3)4~6歳児の「歯磨き実施者」と関連する要因は,「母親が小児の歯磨きを介助する時の小児の協力状態」, 「小児が歯磨きをしない時の母親の態度」, 「年齢」, 「出生順位」の4項目であった。