小児歯科学雑誌
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30 巻 , 4 号
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  • 武井 勉, 大嶋 隆, 中田 稔, 神山 紀久男, 小野 博志, 長坂 信夫, 小椋 正, 鄧 輝, 石 四箴, 劉 大維, Stephen ...
    1992 年 30 巻 4 号 p. 707
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    中国北京市(3歳児60人,5歳児62人),四川省楽山市(3歳児62人,6歳児63人)および上水道へのフッ化物添加が実施されている香港(3歳児65人,6歳児77人)の小児を対象に3種の齲蝕活動性試験(ミューカウント,ラテックス凝集試験,カリオスタット)を行い,齲蝕の現症との相関性を調べた。<1人平均齲歯数は3歳児,5~6歳児ともに北京で最も多く,楽山,香港の順で少なかった。各地域におけるミューカウントおよびラテックス凝集試験によるミュータンス・レンサ球菌の検出率はともに各地域の1人平均齲歯数と相関した。一方,カリオスタットの判定値は地域間に大きな差異を認めなかった。つぎに,上水道の非フッ素化地域(北京,楽山)とフッ素化地域(香港)における被験児のミューカウントおよびラテックス凝集試験の判定値と齲歯数との相関性を検討した。非フッ素化地域ではミューカウントおよびラテックス凝集試験の判定値と齲歯数との間に有意の相関を認めた。しかし, フッ素化地域では両試験とも6歳児においては齲歯数との間に有意の相関を認めたものの,3歳児では有意の相関を認めなかった。
  • 鈴木 善子, 福田 理, 柳瀬 博, 荻田 修二, 河田 典雄, 田中 泰司, 鈴木 裕仁, 黒須 一夫
    1992 年 30 巻 4 号 p. 715-723
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の歯磨きにおいては,基本的生活習慣の一項目としての歯磨き習慣の形成に加え,自分自身で確実な歯口清掃を行う能力が要求される。本研究では,日常生活における母親の小児の歯磨きへの関わり方の実態を把握し,母子を対象とした歯磨き指導の指標を確立することを目的として,1988年11~12月の2カ月間に,名古屋市とその近郊の1~6歳の保育所,幼稚園の園児の母親を対象に「小児の歯磨き習慣」に関する質問調査を行い,幼児期における歯磨き実施者の決定に関連する要因について検討を行い,以下の結果を得た。
    1)年齢別の推移では,3歳児までは親が介助する割合が高くなっていたが,4歳児からは小児単独の割合が高くなっていた。
    2)1~3歳児の「歯磨き実施者」と関連する要因は,「小児が歯磨きをしない時の母親の態度」,「歯磨きに対する小児の積極性」,「歯磨剤の使用状況」,「開始期の歯磨き実施者」の4項目であった。
    3)4~6歳児の「歯磨き実施者」と関連する要因は,「母親が小児の歯磨きを介助する時の小児の協力状態」, 「小児が歯磨きをしない時の母親の態度」, 「年齢」, 「出生順位」の4項目であった。
  • 野江 康郎, 白川 哲夫, 及川 透, 千枝 喜恵, 野崎 真也, 小口 春久
    1992 年 30 巻 4 号 p. 724-734
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科治療時の自律神経機能の変化を知る目的で,健常児63名,健常成人5名,先天性心疾患児22名,精神発達遅滞児15名を対象として,心電図R-R間隔変動のスペクトル解析の有用性を検討した。心電図電極は浸潤麻酔時に装着し,心電図波形データレコーダに記録後,R-R間隔を最大エントロピー法によるスペクトル解析により分析した。その結果,0.04-0.1Hz(LFP)と0.2-0.4Hz(HFP)に明らかなパワースペクトルを認め,そのピークは浸潤麻酔前後で変動した。その変動型は健常児・者および先天性心疾患児では年長になるに従い,HFPが安定して認められる自律神経安定型の割合が増加したが,精神発達遅滞児では7歳以降においては自律神経安定型は認められず,低年齢の健常児,先天性心疾患児と同様に交感神経優位型の占める割合が大きかった。従って,小児のパワースペクトルは浸潤麻酔前後における変動型が,年齢,精神発達により変化していくことから,その変化は自律神経機能の成熟度を反映していると考えられた。また,同時に心電図R-R間隔のスペクトル解析は歯科治療時の自律神経機能の評価法として有用と思われた。
  • 武井 勉, 青野 亘, 美馬 典子, 長島 滋, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1992 年 30 巻 4 号 p. 735-740
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    2~10歳の小児6 8 名を対象に, プラーク中のミュータンス・レンサ球菌をMSB培地およびTYCSB培地を用いて培養し, ミュータンス・レンサ球菌の検出ならびに菌数算定の結果について両培地を比較検討した。その結果TYCSB培地でのミュータンス・レンサ球菌の回収量はMSB培地での回収量より有意に多かった(P<0.05)。しかし,TYCSB培地はMSB培地に比べ,平板上に出現した総コロニー数に対するミュータンス ・レンサ球菌数の割合は有意に低く(P<0.01), しかも, ミュータンス・レンサ球菌の検出される被験児の割合はMSB培地の83.8%(57名)に比べ,TYCSB培地では76.5%(52名)と低かった。また,齲蝕の現症とミュータンス・レンサ球菌数との相関性においても, MSB培地の場合の方がTYCSB培地よりも齲蝕歯面数と強く相関することが示された。以上の結果から,ミュータンス・レンサ球菌の検出や菌数の算定にはMSB培地がTYCSB培地より優れていることが示唆された。
  • 杉浦 直樹, 桑原 未代子, 根来 道恵, 相澤 貴子, 佐藤 隆雄, 筧 錦子, 久保 育子, 辻川 孝昭
    1992 年 30 巻 4 号 p. 741-748
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    若年糖尿病患者の歯科関連問題についてけ種々の報告があるが,これらの患児に対してどのように歯科的対応を行うべきかは明確たされていない。今回,われわれは若年糖尿病患者62名に接する機会を得たので,口腔診査を行い,これらの結果から若年糖尿病患者の歯科的対応の問題点を検討し,以下の結論を得た。
    1)齲蝕に関しては,疾患群に多いとの報告もあるが,対照群との有意差は認められなかった。
    2)歯周疾患,特に歯肉炎は小学生高学年および中学生で重症型へ移行する傾向が認められ,歯垢付着,歯石沈着が高度にみられたため,定期的な歯科検診を行い,保健指導および歯科処置を通じてホーム・ケアを確立する必要があると考えられた。
    3)可能な限り年1回のX線検査を行い,齲蝕,または口腔感染症による顎骨への慢性炎症波及を阻止すべきである。
    以上のことから,若年糖尿病患者については肉体的,精神的または経済的負担軽減のため,十分な歯科保健指導と処置を行うことが望まれる。
  • 青野 亘, 武井 勉, 南 貴洋, 吉田 俊彦, 泉谷 明, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄
    1992 年 30 巻 4 号 p. 749-754
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    2 種類の二糖類アルコールの混合物であるパラチニットの齲蝕誘発能を, ヒトロ腔より検出される2菌種のミュータンス・レンサ球菌,Streptococcus mutans MT8148R(血清型c)株および Streptococcus sobrinus 6715(g)株を用いて,in vitro およびラット実験齲蝕系で検討した。その結果, パラチニットはミュータンス・レンサ球菌による酸産生, および不溶性グルカン合成の基質にならなかった。しかし, ミュータンス・レンサ球菌菌体のスクロース依存性のガラス試験管壁への付着を阻害する作用は認められなかった。S. mutansあるいは S. sobrinus を感染させたラットに, パラチニットを20%含む飼料を与えたとき, 齲蝕は発生しなかった。
  • 西田 郁子, 曽我 富美雄, 松田 容士子, 竹下 尚利, 赤嶺 秀紀, 高橋 宙丈, 木村 光孝
    1992 年 30 巻 4 号 p. 755-766
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我が国は世界的にみてもCa摂取量の低い国である。しかも現代の食生活ではCa不足の状態から脱することはできず,また,いったん虚弱状態に陥った骨組織の効果的な改善方法も報告されていない。そこで著者らは,生後3週齢のWistar系雄ラットにCa欠乏食を与え虚弱状態を惹起さたせ後,Ca含有量の高いイワシパウダーと標準食との混合食,いわゆる高Ca食を与え,下顎骨の骨構築作用に及ぼす影響について検索した。結果は以下のとおりである。
    1)X線学的所見では高Ca投与により骨層の明瞭化,骨梁の増加,規則化がみられた。
    2)X線マイクロアナライザーによる分析所見では,高Ca投与により相対Ca量比,相対P量比ともに増加し,Ca欠乏食・高Ca食群では対照群に近い値をとっていた。
    3)病理組織学的所見では,高Ca投与によって軟骨層の幅の減少,骨梁の幅の増大,数の増加など活発な骨形成所見がみられた。
    4)走査型電子顕微鏡学的所見では,高Caの投与により縦走基質の形成,軟骨下骨形成帯における骨梁の形成が活発にみられた。しかし,すべてにおいて対照群と比較するといまだ不十分な状態であった。
    以上のことから,虚弱状態に陥った下顎頭骨組織にCa含有量の高いイワシパウダーと標準食との混合食,いわゆる高Ca食を与えることにより,軟骨細胞層の成長および骨組織における骨構築が促進されるが,その回復状態は十分なものではないことが明らかとなった。
  • 橘 浩子, 黒川 泉, 下岡 正八
    1992 年 30 巻 4 号 p. 767-788
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科医療体制の整わない地域の同一個体432名を対象に,出生年度別,歯種・歯群別の萌出歯および齲蝕罹患状況を分析した。さらに永久歯萌出開始時の齲蝕活動性試験(カリオスタット)の判定結果が永久歯歯種・歯群別齲蝕罹患状況の予測に有効であるかを検討した結果,以下のような結論を得た。
    1)最も早期に齲蝕に罹患する歯種は下顎第一大臼歯で,次いで上顎第一大臼歯であった。齲蝕に罹患しにくい歯種は下顎犬歯,上顎犬歯,下顎切歯群の順であった。
    2)出生群別では,出生の遅い群で齲蝕罹患の低い傾向があり,第一大臼歯,上顎切歯群,小臼歯群にみられた。特に,萌出3年目以降の第一大臼歯に顕著であった。
    3)永久歯萌出開始時のカリオスタット判定結果とDMF比は,齲蝕罹患の高い歯種・歯群で正の相関が認められ,逆に,齲蝕罹患の低い歯種・歯群では相関が認められなかった。
    4)D比・F比との相関は,歯種・歯群により異なった様相を呈した。上顎小臼歯群,第一・第二大臼歯では,齲蝕罹患後の齲蝕の処置状況とほぼ一致した正の相関が認められた。
    5)下顎小臼歯群は,経年的に齲蝕の増加を示したが,DMF比,D比,F比とも相関はわずかであった。
    以上より,永久歯萌出開始時のカリオスタットは,歯種・歯群別の経年的な永久歯齲蝕罹患状況を予測する指標として有効であることがわかった。
  • 岡本 義正, 殿内 真知子, 篠田 圭司, 田村 康夫
    1992 年 30 巻 4 号 p. 789-797
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは, これまでT スキャンシステムを用いた基礎的実験を行ってきた。先の第1報においては模型を用いた本システムの再現性について,第2報では成人被検者を用いた咬合接触圧計測の結果について報告した。そこで本研究では,臨床における小児咬合分析への応用を目的として,センサーの適合性を小児112名で検討し,さらに歯冠修復の必要な小児齲蝕罹患患者20名を対象として, 患歯治療時に, その修復材料に人工的咬合干渉を付与し,咬合調整前後における咬合接触状態の変化を時間分析(タイムアナライシス)と圧分析(フォースアナライシス)の各モードで解析し,本システムの臨床的有効性について評価検討を行った。その結果,
    1.乳歯列期小児では,口腔内にセンサーを挿入することが困難であり,Tスキャンシステムの適用は混合歯列期以降が好ましい。
    2.歯冠修復時の咬合調整前後において,Tスキャンシステムの時間分析ならびに圧分析は,咬合干渉の確認ならびに咬合調整後の咬合回復の確認にも有効であった。以上の結果より,Tスキャンシステムは,小児歯科領域での臨床応用が可能であることが示唆された
  • 鈴木 寿代, 青葉 達夫, 千葉 秀樹, 清水 文雄, 神山 紀久男
    1992 年 30 巻 4 号 p. 798-808
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1981年1月より1990年12月までの10年間に初診患者として本学小児歯科を受診した2,806名の患児のうち,初診時に外傷を主訴として来院した患児162名,乳歯129歯,永久歯62歯について臨床統計学的な検討を加えた。受傷年齢は0歳から10歳の間に分布し,2歳児が最も多かった。また,各歯列期にわけてみると,乳歯列期6.9%,混合歯列期4.1%であった。受傷部位は,乳歯及び永久歯ともに上顎中切歯が最も多く,しかも乳歯では右側が左側のほぼ2倍を占めた。
    次に,1971年5月より1990年12月までの19年8カ月の間に当科の管理にのった患者の中で,管理中に受傷した61名を加え,総計223名,乳歯264歯,永久歯103歯について検討を加えた。受傷児の男女比は,乳歯では1.3:1,永久歯では1:1であった。受傷から来院までの経過日数は,24時間以内が最も多く,また,受傷の原因をみると,乳歯では衝突,転倒,転落,永久歯では転倒,衝突,事故の順に多かった。前歯部の咬合状態と受傷との関係では,正常咬合児に対する受傷正常咬合児の割合は5.8%,不正咬合児にみられる受傷率は4.1%と差は認められなかった。不正咬合では上顎前突を含む開咬が最も多かった。受傷症状では,乳歯でその他,脱臼,破折,永久歯では破折,不完全脱臼,脱落の順に多かった。処置については,乳歯では単なる経過観察,抜歯,整復固定の順に,永久歯では経過観察,整復固定,歯冠修復の順に多かった。
  • 貴田 章敬, 都筑 勝美, 黒須 一夫
    1992 年 30 巻 4 号 p. 809-816
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,接着性複合レジン充填窩洞の窩洞形態の検討を行うことにある。そこで, 接着性複合レジン充填後, 良好な経過をたどり, 永久歯萌出障害の病名で抜去された下顎第2乳臼歯15歯を用い,窩洞とエナメル象牙境との位置関係ならびに窩洞と歯髄腔との距離の計測を行い,以下の結論を得た。
    1.窩底の位置がエナメル質内に認められたものは,被験歯15歯中5歯であり,先回報告した上顎第2乳臼歯に比べその割合は少なかった。
    2.歯冠中央部付近において,窩底の位置がエナメル質内に多く認められた。
    3.窩洞と歯髄腔とが近接していた部位は,近心頬舌側髄室角部付近で1.12~1.27mmであった。
    4.窩洞と歯髄腔との距離は,近心側部から中央部にかけて距離が大きくなり,遠心側部で距離が減少する傾向が認められた。
  • 緒方 哲朗
    1992 年 30 巻 4 号 p. 817-827
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎顔面頭蓋や歯列の成長期にある小児の咬合機能の変化を知るひとつの指標として,著者は咬頭嵌合位における咬合接触面に注目した。
    今回,われわれが開発した咬合接触面測定システムを用いて,正常な歯列を有する小児28名(男子14名・女子14名)を対象として,Hellmanの歯年齢による咬合接触状態の推移について解析した。その結果,以下のことが明らかになった。
    (1)臼歯部の咬合接触面数の合計は,II A期で4.7個,II C期で8.2個,III A期で6.8個,III B期で6.1個であった。
    (2)臼歯部の咬合接触面積の合計は,II A期で1.31mm2,II C期で3.35mm2,III A期で2.43mm2,III B期で3.66mm2であった。
    (3)臼歯部の咬合力の大きさの合計は,II A期で68.6N,II C期で172.4N,III A期で130.3N,III B期で200.9Nであった。
    第1大臼歯は萌出後早い時期から咬合接触に重要な役割を果たしていること,乳臼歯も各歯年齢において咬合接触関係に大きな影響を与えていること,そして発育時期に応じて臼歯の果たす役割が変化していることがわかった。
  • 豊島 正三郎, 森主 宜延, 小椋 正
    1992 年 30 巻 4 号 p. 828-833
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小窩裂溝シーラントを実施する際の問題点の中で実施する側の問題点を把握することを目的として,当科で行った小窩裂溝シーラントの2年間の成績について,小窩裂溝の清掃法ならびに実施者の治療経験年数の影響を中心に調査,検討した結果,次の結論を得た。
    1.清掃法の変更によりたーラントの成績は向上していた。完全保持率は64.7%から79.4%へと改善していた。
    2.部位間に成績の差はなく,部位に関わらず清掃法の変更により成績は向上していた。特に上顎において大きく改善が認められた。
    3.術者の経験年数とシーラントの効果について関連のある傾向が認められた。
    4.清掃法の変更により,経験の浅い術者が強い影響を受ける傾向が認められた。5.ある一部の術者による成績が全体の成績に影響し,一部に悪化傾向等が認められた。
  • 奥 猛志, 森主 宜延, 小椋 正, 末永 重明, 野井倉 武憲
    1992 年 30 巻 4 号 p. 834-842
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,MRIにより開閉口時における下顎頭および関節円板の動態について,新しい定量的評価方法を提示することと,この新しい方法を用いて,正常老と顎関節症患者の下顎頭および関節円板の動態を比較することである。対象者は,正常者7人(N群),復位を伴う関節円板の前方転位を認める患者7人(T1群),復位を伴わない関節円板の前方転位を認める患者8人(T2群)であり,以下の結果が得られた。
    1.新しい評価方法により得られた下顎頭および関節円板の動態のXY座標値は再現性が認められた。
    2.正常群における水平変化量の大きさは,下顎頭,関節円板最前方点,関節円板最後方点の順に大きかった。
    3.下顎頭および関節円板の動態は3群で異なった。
  • 小村 隆志, 村上 充子, 大嶋 隆, 祖父江 鎭雄, 武内 健二郎
    1992 年 30 巻 4 号 p. 843-848
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    混合歯列期の患者に対して上顎の側方拡大を緩徐法で行った時,上下顎の各歯間幅径にどのような影響を及ぼすかを調べた。上顎歯列の拡大を必要とする小児19名(男子9名,女子10名,年齢6~11歳,平均8.6歳)に1週間につき0.2mmの上顎側方緩徐拡大を行った。各症例の拡大前後の全顎模型について,上下顎の乳犬歯間幅径,第一乳臼歯間幅径,第二乳臼歯間幅径,および第一大臼歯間幅径を計測し,その観察期間中の各歯間幅径の変化量を算出した。また,各歯間幅径の累年的成長変化について6歳から13歳までの日本人について調べた大坪の研究の各歯間幅径の年齢別の平均値に基づいて,その近似曲線を求め,その式から各症例の研究期間中の各歯間幅径の成長量を見積った。この見積りの成長量と模型上で計測された実際の歯間幅径の変化董とをWilcoxon signed-rankstestを用いて検定を行い,比較した。
    上顎においては,すべての歯間幅径の変化量は,それらに対応する幅径の見積り成長量より有意に大きかった。下顎については,乳犬歯間および第一乳臼歯間の実際の変化量とそれぞれに対応する幅径の見積り成長最との間には有意の差は認められなかったが,第二乳臼歯聞と第一大臼歯間では,実際の変化量がそれぞれに対応する幅径の見積り成長量より有意に大きかった。
  • 佐藤 輝子, 向井田 珠美, 熊本 亮子, 野坂 久美子, 甘利 英一
    1992 年 30 巻 4 号 p. 849-860
    発行日: 1992/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床におけるフッ化モリブデン酸アンモニウム{ (NH4)2MoO2F4} の齲蝕進行抑制効果を確かめる目的で,10%(NH4)2MoO2F4溶液を使用し,歯面塗布を行い経時的観察を行った。
    対象は,岩手医科大学小児歯科外来を受診した小児26名であり,乳歯48歯である。
    その結界,次のような結論を得た。
    1.唇(頬)面齲蝕の齲蝕病巣面積の比率の経時的変化を調べた結果,被検歯群は有効率62.1%を示し,統計的に有意に有効性が認められた。
    2.臼歯隣接面齲蝕では,レントゲン写真による判定で,16歯中,対照歯では4歯において被検歯では1歯のみにおいて,齲蝕の進行が認められ,被検歯では15歯は何ら進行することなく経過した。
    3. 10%(NH4)2MoO2F4溶液塗布による副作用ならびに歯質への着色を示した症例は1例も認められなかった。以上の結果より10%(NH4)2MoO2F4溶液は,齲蝕進行抑制剤として,臨床的に応用が可能であると考えられた。
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