小児歯科学雑誌
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石膏模型を用いた乳歯列咬合に関する研究-正常咬合者群と過蓋咬合者群との比較
久保山 博子尾崎 正雄松根 由佳横尾 健次進士 久明本川 渉
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1993 年 31 巻 1 号 p. 15-24

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抄録
乳歯列期の正常咬合および不正咬合者の咬合状態を知るために,Hellmanの歯齢IIA期(3歳-5歳)の,男子85名,女子71名,合計155名の石膏模型を用いて,分析を行ったところ,以下のような結果を得た.
1.咬合状態の発現頻度は,正常咬合が56.8%,過蓋咬合29.0%,開咬7.7%,切端咬合4.6%,および反対咬合1.9%の順で,正常咬合が最も多かった.
2.全群においてターミナルプレーンの関係は,M-M Typeが最も多く,次いでV-V Type,D-D Typeの順であった.また,V-V _Typeは年齢が増すにつれて減少していた.
3.正常咬合群では,V-V Typeが,開咬群では,M-M Type,D-D Typeが,切端咬合群では,M-M Typeが,過蓋咬合群では,D-D Typeが,反対咬合群では,M-M Typeが最も多かった.
4.正常咬合群では,年齢が増すにつれてV-V Typeが減少し,M-M Typeが3歳児に比較して5歳児では増加していた.過蓋咬合群では,年齢が増すにつれてD-D Typeの示す割合が増加していた.
5.全群において上顎の総歯間空隙量は,3歳児と比較して5歳児の方が少なくなっていたが,下顎では3歳児より5歳児の方が多かった.また,上顎総歯間空隙量は正常咬合ならびに過蓋咬合両群とも,M-M Typeにおいて最も多く,過蓋咬合群では正常咬合群より多かった.下顎総歯間空隙量は両群間に著明な差はなかったが,上顎と違ってM-M Typeにおいて最も少なかった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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