小児歯科学雑誌
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東京都と鹿児島市における思春期の顎関節症の発症頻度とその徴候の比較について
小椋 正中尾 さとみ豊島 正三郎奥 猛志松本 晉一堀川 清一森主 宜延堀 準一
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1993 年 31 巻 3 号 p. 478-484

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抄録
顎関節症の発症頻度の報告には,かなりのバラツキがある.その理由は,診査に採用した症状と診査方法の違いによるためである.すなわち,三大症状の他に頭痛と異常顎運動などの症状を調査の対象に加えたかどうか,その他臨床診査などの方法の違いである.そこで,同一の診査者が同一の診査方法で顎関節症の発症頻度を東京都内と鹿児島市内の中学生と高校生の一般集団を対象として,地域差や環境差を検討し,以下の結果を得た.
1)東京都と鹿児島市の中学生と高校生の顎関節症の発症頻度は同程度であり,地域差はないと考えられた.
2)東京都と鹿児島市の中学生,高校生の顎関節症の発症頻度はともに男女差があり,女子の値が高頻度を示した.特に東京都,鹿児島市ともに女子の多い高校の顎関節症の発症頻度が最も高かった.しかし,統計学的な有意差は認められなかった.
3)単独症状における徴候形態は,東京都と鹿児島市の中学生,高校生ともに顎関節雑音が最多頻度を示した.中学生から高校生に年齢が増加するに従って単独症状の顎関節雑音は減少し,その代わりに疼痛と開口障害が増加した.
4)東京都と鹿児島市の中学生,高校生ともに単独徴候が最多頻度を示したが,複合徴候は両地域とも男子と比較して女子が高頻度であった.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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