小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
岐阜県下小児における顎関節症の発生頻度
周 瑞瑛長谷川 信乃鵜飼 紀久代加藤 敬松下 繁笹井 浩司田村 康夫
著者情報
キーワード: 顎関節症, 小児, 疫学的研究
ジャーナル フリー

1993 年 31 巻 4 号 p. 779-786

詳細
抄録

若年者の顎機能異常について検討する目的で,岐阜県下の幼稚園1校,小学校3校,中学校1校の計1,893名(男子952名,女子941名)を対象に顎関節症の発生頻度について疫学的調査を行った.顎関節症の診断基準は顎関節雑音,顎関節疼痛,開口障害の症状を単独あるいは複合して有するものを顎関節症と診断し,以下の結論を得た.
1.顎関節症の発生は全体で275名(14.5%)で,幼稚園児で13名(8.2%),小学生低学年で57名(9.4%),小学生高学年で115名(20.2%),中学生で90名(16.0%)に認められた.
2.学年群間で検討すると幼稚園・小学生高学年間,小学生低学年.小学生高学年間,小学生低学年・中学生間で有意差が認められ,増齢的に増加する傾向が認められた.しかし各群とも性差は認められなかった.
3.症状別に検討すると,顎関節雑音が81.1%と最も高い出現を示し,次いで顎関節疼痛で23.6%に認められ,開口障害は認められなかった.
4.顎関節雑音は全体で223名(11.8%)に認められ,幼稚園児では13名(8.2%),小学生低学年で46名(7.6%),高学年で74名(13.0%),中学生で90名(16.0%)に認められた.幼稚園・中学生間,小学生低学年.高学年間,小学生低学年・中学生間で有意な増加を示していた.しかし各群では性差は認められなかった.
5.疼痛は幼稚園児および中学生には認められず,小学生低学年で17名(2.8%),高学年で48名(8.5%)に認められた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top