小児歯科学雑誌
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リン酸四カルシウム配合グラスアイオノマーセメントの理工学的性質
楽木 正実張 美華新谷 誠康大西 智之祖父江 鎭雄
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1993 年 31 巻 4 号 p. 787-792

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抄録

萌出途上の幼若永久歯の小窩裂溝填塞用セメントとして応用するために,グラスアイオノマーセメントにリン酸四カルシウム(4CP)を配合したセメントを試作し,理工学的性質を検討した.グラスアイオノマーセメントはFuji Ionomer Type IIIを用いた.4CPの配合量は0,2,5,10%とした.4CPを10%まで配合しても圧縮強度の低下は認められなかった.しかし硬化時間,崩壊率,エナメル質への接着強さを考慮すると4CPの配合量は5%までが適当と考えられた.4CPを5%配合したセメント(5%4CP)の硬化時間,圧縮強度,崩壊率,24時間後のエメナメル質への接着強さは,それぞれ4分,112.3MPa,0.36%,2.3MPaであった.また,5%4CPからのカルシウムとリンの溶出量はFuji Ionomer Type IIIに比べて浸漬3または4日後まで約1.5から2.5倍に増加したが,その後は有意差を認めなかった.一方,5%4CPからのフッ素の溶出量はFujiIonomer Type IIIに比べて全期間にわたり約90から50%に減少した.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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