抄録
昭和57年4月から昭和63年3月までの6年間に東北大学歯学部付属病院小児歯科を受診した患児を対象とし,上下顎D,Eの低位について調査した.被検者数は男児449名,女児476名,計925名であった.低位の判定には隣在歯を基準とする方法を用い,石膏模型上でDE間,E6間で辺縁隆線の高さが隣在歯より1mm以上低くなっている歯を低位乳臼歯とした.低位歯保有者率は14.5%であり,男女差はなかった.年齢別にみて発現頻度が高いのは6-8歳であった.個別の低位保有歯数では1歯のものが最も多く,最高歯数は6歯であった.低位歯は上顎よりも下顎に多く,EよりもDに多く認められた.下顎では男児は左右差を認めなかったが,女児では左側がやや多かった.低位歯を2歯以上保有する場合,両側性が88.7%を占め,このうち左右対称性が65.5%であった.低位発見時の発現歯の状況としては乳歯冠による修復が43.5%と著しく多く,このうち45.5%には歯髄処置がなされていたが,特に断髄が多かった.また,低位が顕著な症例,男児13名14歯,女児5名5歯について,当該歯とその周囲歯の位置的関係を三豊社製三次元計測機MXF 203 MICROPAK 550Kを用いて測定し,その経時的変化を調査した.低位が最も重症なものでは4.44mmの高低差が認められた.低位歯の隣在歯間距離の減少は1-2mmが56.3%と最も多かった.低位が顕著な症例では歯髄処置や乳歯冠での修復処置が施されているものが多かった.