抄録
日本人男子(初診時年齢4歳)が,下顎右側乳犬歯の動揺と疼痛を主訴として来院した.下顎の両側乳犬歯に重度の歯槽骨吸収を認め,歯肉溝の深さは4-6mmであった.患者は乳歯列完成期(IIA期)であり,他の乳歯には特に異常を認めなかった.全身所見には診査した限り異常を認めなかった.初診より7ヵ月後,右側乳側切歯が急速に動揺し,歯槽骨吸収も進行した.数週間のうちに他の下顎乳前歯の動揺も進行した.乳側切歯を抜去し,抗生物質の全身,局所投与を行うことにより,症状は軽減し,他の乳前歯の抜去は免れた.その後,下顎の左側乳犬歯以外は永久歯との交換による自然脱落の経過をたどった.